4話
ーーー地方都市 ビックツリー
町の大通りを2人の男が歩いている
上機嫌に飛び跳ねながら歩いている少年と、横を静かに歩いている青年だ。
やがて目的の場所にたどり着いたのか、立ち止まってその建物を眺めていた。
「おー、ここが冒険者ギルドか。やっぱり人が沢山いるな」
その言葉の通りそこは、武器や防具を身に着けた屈強なものたちで
溢れかえっていた。
「おっ、あの店はなんだ?」
少年が目を向けたのは冒険者ギルドの前にある店だった
こちらも多くの人が出入りしていた。
「ロック様、どうやら回復薬など冒険に必要なものを取り扱う店の様ですね」
青年は遠目から店をみると少年にそう告げた。
その店に駆け寄った少年は様々な商品を見渡すと、より一層気分が盛り上がった
ようだった。
「とりあえず回復薬と水は絶対必要だな。それと・・・・」
「しかしながらロック様、それらを買ってしまうと宿や食事の金銭が無くなって
しまいますが」
「大丈夫だ、これからモンスターをたくさん狩って稼げはいいんだから」
少年は自信満々にそういうと、回復薬3個と水を買い所持金をすべて使い果たして
しまった。
満足そうな笑顔を浮かべた少年は当初の目的であった冒険者ギルドへと向かった。
内部は混雑していて、壁には多くの紙が貼られていた。
二人は周囲を見回し状況を確認し受付へと向かった。
「本日はどういったご用件でしょうか?」
受付の女性がそう彼らに尋ねると、少年は勢いよく答えた
「冒険者だ!冒険者になりにきたんだ!」
「冒険者登録ですか」
彼女はそう答えると、様々なことを彼らに語った。
冒険者は非常に危険なこと、損害は自己責任であること、
モンスターの素材や魔石をここで買い取ること、依頼から達成までの流れ、
冒険者はFランクからスタートすること。など
「Fランク!?伝説の冒険者ロックが?」
「ええ、最初は皆さんそうなっています。実績をあげると上がっていきますが」
少年が驚いていると、ギルド内から大声が響き渡った。
「おい!ガキ!なにが伝説の冒険者だ!なめたこと言ってんじゃねえ!」
振り返るとそこには大柄で筋肉質でヒゲモジャで乱暴そうな男がいた。
少年と男はにらみ合うと周りの男たちははやしたてた。
「やめてください、ギルド内での争いは禁止ですよ!」
受付の女性が止めようとするが二人には全く効果が無いようだった。
「おい、がき、外に出な、少しばかり俺様が世の中ってものを教えてやるぜ」
「やってやる!俺のスーパーパンチで懲らしめてやる!」
男と少年は力をみなぎらせながらギルドの外へと向かった。
「はっ、えっ、ここはどこだ?」
「ロック様、気が付きましたか」
「えーと、俺はあいつと決闘をしようとして・・・」
「ええ、ロック様は負けてしまいました。」
アルバート語り始めた。
ギルドの外へ向かう途中で男と肩がぶつかったこと
ロックがバランスを崩して倒れたこと
机に頭をぶつけたこと
アルバートが負けを認めて決闘が終わったこと
冒険者登録は無事終わったこと
ロックは歯を食いしばりながら話を聞くと地面にこぶしをたたきつけた。
「クソッ!この俺が!伝説の冒険者ロックが!あんなやつに!クソッ!」
アルバートはその様子を見ながら優しく語りかけた。
「大丈夫です、ロック様。これからモンスターを倒してレベルをあげれば
強くなっていきます。リベンジの機会はきっとあるはずです」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・」
「そうだな・・・よし!俺はこれから強くなって絶対あいつをボコボコにしてやる!
伝説の冒険者ロックの成り上がりだ!よし!モンスターを倒しにいくぞ!」
「しかしながらロック様、門はすでに閉まっていますが」
「えっ?今何時だ?」
「現在午後8時45分ごろですね、門は8時に閉まるのが規則のようです」
「えっ、じゃあ宿を」
「しかしながらロック様、金銭が全くありません」
「えっ、それじゃあ」
「ロック様、野宿ということになります。」
二人の旅はまだ始まったばかりだ