第2話 召喚と決意
意識が揺さぶられるような感覚で目が覚めた。
「ここは・・・?」
体に力が入らないが顔は動かせたので周りを見渡すと
見たことのない景色がそこにはあった。
足元には先ほどの魔法陣の思われる光の残光が残っていて
自分の周りには囲むようにして甲冑を者たちが複数、豪華そうな服を着ていてとてもかわいい女の子が一人いた。
「申し訳ありません。勇者様。さぞ今は混乱なさっていると思いますがお話を聞いてもらえないでしょうか?」
女の子が目の前に来てこう言って来た。
俺は状況が掴めなかったのでとりあえず話を聞くことにした。
「わかりました。」
「感謝いたします。では、まずこの状況からご説明させていただきます。今、勇者様はこのメルティマ王国の勇者として召喚させていただきました。私はそのメルティマ王国の第一王女クリスティーナ・ルーン・アスタロトです。
私たちは現在、魔王と呼ばれる魔物の王であり、強大な力を持つものに攻められております。そして、勇者様にはその魔王を打ち取って欲しいのです。」
「・・・・・」
「どう、でしょうか?・・・もちろん勝手に元の世界から別の世界に来たのはショックだと思います。しかしそれでもどうか魔王を打ち倒すために力を貸してくださらないでしょうか?」
「しかし、私は平凡な一般人ですよ?とても戦う力などあるとは思いません」
そう、忍は普通の人間だ。特別喧嘩が強いわけでもないし頭が切れるわけでもない。ただの平凡な一般人だ
そういうと。王女は微笑んでこう言った。
「召喚されたものは高い身体能力と神より
与えられしスキルがあるとの伝承がありますので
[ステータスオープン]と言ってみてください。」
と、自信ありげな顔で言った。
「ステータスオープン」
言ってみると視界に何やらゲームで見るような
画面が表れた。
名前 今井忍
レベル 1
ジョブ 勇者
【能力値】
体力 : 268/268
魔力 : 42/42
筋力 : 53
耐久 : 48
敏捷 : 46
知力 : 35
【スキル】
レベル経験値取得量二倍
スキル経験値取得量二倍
レベルアップ時の能力値上昇50%増加
レベル上限突破
異世界言語取得
聖剣術 : Lv1
火魔法 : LV1
水魔法 : LV1
地魔法 : LV1
闇魔法 : LV1
光魔法 : LV1
夢想 : LV MAX
というふうに画面には表示されていた。
(この能力値はこの世界ではどのくらいなんだ?)
「表示されましたか?表示されましたらこちらの羊皮紙に
記入をお願いします。」
そう言って王女は紙を差し出してくる。
俺は素直に見たものを全て書いていった。
「こ、これは・・・素晴らしいです!この能力値はこの世界いうところの騎士と同等くらいです。
これでレベルが1、しかもレベルの上限突破に取得経験値二倍ともなれば物凄い強さを手に入れることができます!
しかも全属性の魔法を操れるなんて・・・・・」
王女は興奮した様子で羊皮紙を手にプルプルと震えている。
それを見て少し引いているとハッとした様子で王女が
落ち着きを取り戻した。
「お見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ありません。ですがこのステータスはそれほどなのだと理解してください。そしてどうかこの力を我々に貸してもらえないでしょうか?」
また同じ質問をしてくる。
(俺はこの世界で生きていくのか?確かにそれも悪くない
元の世界にはもう夢もない・・・夢、か・・・・・
俺は勇者だ。勇者とは人々の希望だ。そして、希望とは夢なのではないか?だとしたら俺は今夢として頼まれている
・・・・・よし俺は今井忍を捨て勇者シノブとしてこの世界の夢となろう)
思考の末に結果が出た。
「わかりました。俺が魔王を打ちましょう。」
そういうと酷く感謝した様子で
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
と、頭を下げて来た。
「では、今から王室に行き王との謁見を行いましょう。」
嬉しそうに王女が言うので立ち上がろうとすると盛大に尻餅をついてしまった。
「すみません。なんか体に力が入らなくて。」
「いえ、召喚されたばかりで力が入りづらいのでしょう。
手を貸してあげなさい。」
そう指示するように言うと今まで周りにいるだけだった騎士?たちが近寄って来て肩をかしてもらいながら立ち上がるのとに成功した。しかし、立ち上がると何か違和感があることに気付いた。
(なんか体が前よりも若々しくなってないか?
髪を増えてるし手もスベスベになっている。
まさか!?これ若返ってないか!?)
そう考え慌てて鏡を貸してくださいと頼み持って来てもらった鏡で自分の姿を確認すると自分の18歳くらいのころの姿になっていた。しかも微妙にイケメンになっている。
「えっこれなんか若返っているんですけど?」
「もしかしたら召喚にそういう作用があったのかもしれません。もしかして若返ってはいけない事情がありますか?」
そう心配そうに言葉をかけてくる。
「いえ、特にないので大丈夫です。」
体の興奮の余韻を感じながら言うと
「よ、よかったぁ」
クリスティーナが笑顔で返してくれた。
その顔がとても魅力的で綺麗だった。
「こちらが王室です。できるだけ粗相をしないようにしてくださるとありがたいです。」
そう言うと豪華な扉を扉の横にいる騎士?が開けていく。
扉はゴゴゴと言いそうな雰囲気なのに静かに開けられていった。
「クリスティーナ第一王女と勇者様をお連れしました。」
クリスティーナが歩き出したのでつられて歩く。
目の前には豪華な椅子に偉そうに座っている人が一人
その隣に他の騎士?たちとは違う白をメインとした甲冑を着た人が一人立っている。恐らく座っている方が王様でその隣に立っているのが護衛の騎士だろうか?
「よくぞ参った。勇者よ。ここに来られたと言うことは
我々の願いを了承してもらった、ということでいいのかね?」
そう聞かれたので内心ビクつきながらも答える。
「は、はい。私は魔王を打ち倒すためにこの力を
尽くすことをここに誓いましょう。」
そう答えるが、王様はただじっとこちらを見つめてくるだけでなにも言ってはこない。それが何かまずいことを言ってしまっただろうかという不安を煽ってくる。
しばらくその状態を続けていると
「そうか、ではこちらもそなたの誠意に答えなければならまい。おいあれを持ってこい。」
騎士?の一人に指示をするとその騎士?は一旦部屋を退室し、戻ってくると手には大きな箱を持っている。
これを王様の隣の騎士に渡し、その騎士が王様へと渡した。
そして王様が立ち上がりこう言った。
「そなたには我が国の国宝の勇者にしか扱えないといわれる聖剣を与える。」
そういい目線で立てといいかけてくるので立ち上がり
迷いながらも王の対面に移動し片膝をついた。
「受け取れ」
そういわれて箱を受け取る。
「開けてみろ」
「はい。わかりました。」
箱を開けてみると中には布が敷き詰められており布の中には金色に輝く聖剣があった。取り出してみると何か手にしっくりくるような感覚がありこれがあれば負けないという強い思いが溢れてきた。
「その聖剣の名はカリバンドだ。」
「カリバンド・・・この聖剣で必ずや魔王に勝って見せましょう!」