懐かしき青の光
夏が来ると言うことはあの嫌な暑さと蟲のパレードですね。
冬が一番最適解だと思います...少しも寒くありませんからね...
私は最近変な夢ばかり見ていた。
唐突にヒト以外の動物に転生したり、一分一秒を同じくする時計だらけの部屋に独り立っているとか。
夢はその日の復習と言うが、別にヒト以外になりたいと思ったわけでもなく、時計に囲まれたいと思っていたわけでもない。
あくまでも脳内の妄想世界...イマジネーションが映像となっているだけだと信じたい。
だが今目の前で起きてる現象はなんだろうか。
こんなにも鮮明に、こんなにも眩しい夢があっていいのだろうか?
いつもモノクロで構成される夢が今日だけ彩色されたのか?
解は1つであった。これは“夢”ではない。“現実”なのだ。
今日また眠りに就き夢を見る時はいつものモノクロ世界なのだろう。
私が紅い提灯の中に青い光を放つ提灯を見つけるのは難しくなかった。
山から俯瞰する私は数分か見惚れていた。
灯が山に来る。今降りればパレードにぶつかり、今留まれば時機にパレードはこちらに来る。
そう思っていた。
静寂を破る者が居た。
後が青く眩しい。
「お久しぶり」
私はその言葉に激しく恐怖した。
振りかえることもできず私はずっと震えていた。
まるで狂った猿のオモチャの様に...
「何をそんなに震えてるんだい?あの日一緒に遊んだ友じゃないか」
そう、だから怖いのだ。
何故居るのだ。
「こっちを見なよ。久しぶりの顔合わせをしないか?」
アイツは死体になったはずなのに...
アイツはもう既に死んでるはずなのに...!
「取り敢えずこの手紙でも読んでよ」
足元に落とされた手紙を拾う。
ところどころ、画鋲のようなもので穴があき、少し焦げてたりしている。
青い光のお陰で文字は読み易かった。
~
わたしたちは約8人の死体を作らせて戴きました。
1人は芸術の果てを魅せ
1人は警戒の薄さを教え
1人は二つの甘味に踊らされ
1人は想像の無さを痛感させ
1人は万力の無力さを伝え
1人は物の重要さを指導し
残り二人には“仲間”を轟かせました。
私はいつの間にかこうやって人を騙し殺すのが楽しくなったのです。
正直言ってもう少し人を連れてくるべきでした。
そうすれば暇なんてしなかったでしょう。
これから私は死人扱いとなり""""に還されるでしょう。
ですが、残念ながら生きております。
今回提案してくれた少年と一緒に被害者の名を提げ""""に戻るでしょう。
もしこの手紙が""""の警察に見られるなら僕らはまたサーカスをするでしょう。
P.S.首を吊ってるのは僕じゃないですよ。
~
私が手紙を閉じたときまたアイツは言った。
「結局警察には見つからなかったんですけどね。ポケットに入ったまま脱走してしまって...」
「はぁ...貴方の父は探していると言うのに。こんな場所でパレードしてる暇ではないのです」
「今帰れば警察沙汰だ。あくまで僕は死んだことになってる。でも君の方は“生きている”被害者として存在している」
「で、なんで今更私の目の前に?私達はもう片付ける者なんていないだろう?それとも此処で本当に相討ちとするかい?」
「そんな物騒な。それより行きましょうよ。後始末へ」
「全く。あの島にはもう行きたくないんですがね...しょうがない」
陽は昇り出した。
パレードの姿はもう見えない。
なんでだろうか。私の隣に人が居るって言うのが懐かしい。
独りで探訪のもいいかもしれない。ただ2人でも良きかな。
大人数は嫌いだが。
舟に乗りこんだ私達2人は早速、「あの島」へと舵を進めた。




