友達コウカン
二月十四日 バレンタインデー
待ちに待ったバレンタインデーがやって来た。昨晩心を込めて湯煎から作ったトリュフにキャンディを多数。アンティーク風の包装に包んで手紙も添えた。
見鏡を眺めて元気つけるように一言。
「頑張れ。私」
そう呟いて私は小走りで近所の待ち合わせ場所に向かった。
制服以外ではほぼ吐かないスカートが風になびく。自転車なもんだから余計に気を使いすぎて。
彼方「よっ」
紫「おー。服装、気合い入ってるじゃん」
彼方「いや、そんなに。てか照れるわ!」
紫「いやいや」
彼方「言ってるそっちこそスカートなんていつも履かないのに。超気合い入ってる。まぁ似合ってるしいいじゃん!」
紫「あんがと。って蒼太来たかな?」
彼方は蒼太の名前を口にした瞬間顔を反らした。そうしてうつむき加減ぎみで呟いた。
彼方「予定より早いじゃん・・・」チッ。
蒼太「おはよう。待たせた?」
彼方紫「待たせてないよ。大丈夫」!?
私と彼方は顔を見合わせてはにかんだ。
蒼「薫こないね。俺家知ってるから行ってくるわ」
彼方「行ってら~」ヨシッ!
紫「あのさ、彼方ラインやってる?」チラッ。
彼方「えぇ!まぁやってるよ。友達なる?」
紫「うん。うち名前が紫もやしやから」
彼方「笑うわ!よしっ」
紫「彼方ー。お前今更やけど好きなひとおる?」
彼方「ハァ?ちょ。その話題ふるなし。そっちは?」
紫「うーん。居るっちゃいる」
彼方「ふーん。てか俺らずっと同じクラスメイトじゃね?」
紫「うん。偶然過ぎるよね。もしかして運命?」
彼方「恥ずかしいから止めろ。顔赤くなるから。おっ薫来たかな?」
薫「寝坊した~。ごめん」
紫「蒼太も一緒だね」
蒼「よし、じゃあ最初にゲーセン行こ?」
三人「もちろん!」