無反応な妹に悪戯をしてみたら。2
妹は癒やしです。
学校から帰宅してリビングに入ると、妹の千花がソファの上で横たわって寝ていた。
脚を肘掛けに乗せ、漫画らしき本を手に見入っていた。
スカートから覗くその白く綺麗なおみ足がそこらの宝石より輝かしい。ぶっちゃけ堪らない。触れたい。
だが我慢をし、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してキャップを開けて口をつける。
「……。やっぱり水だよねぇっ」
少し語調を強くしながらさり気なく言ってみる。
だが妹の反応は、なし。
ペットボトルの中身を半分にしてから冷蔵庫の中に戻す。
「……」
妹の方を見る。
足がこっち側を向いている。スカートがめくられ、純白な布らしきものが見える。
妹が動く度にスカートがヒラヒラとして目が自然とそっちに向いてしまう。
うん。目の保養だ。
女の子の自然体はどこか心をくすぶる何かがある。
だからかな、つい構いたくなる。
むしろ構って欲しい。ここ半年くらいまともに構って貰って無い気がするし。
兄としての尊厳は失われているばかりなのだろうか。悲しい。
だがしかし!ここで挽回をするべきではないかな!?
誰に言うわけでもなく、自分に対して呟くように心の中で言ってみる。
「……な、なぁ…」
上擦っては噛み、言い直すも声はしりぼみして情けない感じになってしまったが、声を掛けてみる所からチャレンジしてみる。
「……」
「……」
「……」
「……」
ダメだ。まったく反応がない。
これはどうしたものか……。
視線はソファに寝転び楽々としていて見える、脚の付け根からのふとももに行く。
細くてスラッとした脚線美は一度見た者の虜にさせる力がある。
僕は虜になった。
兄としてダメな感じだが、その脚を触れたら、もしくは触られたら……どんなにエクスタシーに浸れるのだろうか。
て、ダメだろそんなこと!
兄として、人として。
……けど
「……ごくり」
気付くと生唾を飲み込みジッとふとももとスカートの境界線を凝視していた。
何度見ても厭きない綺麗な肌、スベスベしていそうでつい手を出してしまいそうになる。
「……」
こんな風に近付いて脚を凝視していても何の反応を見せない千花。
漫画に集中して気付いてないのかな?
それならそれで都合がいいや。じっくりと観賞ができる。
「……はぁ、はぁ……あ」
手をゆっくりと伸ばし、その柔らかそうな美脚にあと数センチというところで千花と目が合ってしまう。
「……(ジト)」
妹のジト目が僕の良心とMっ気をくすぶって射る。
……、
…………、
………………。
「(プイ)」
しばらく見つめ合ってから、千花は目線を逸らして漫画に視線を戻した。
無視された。しかも何も言わずに。そしてスカートもとをさり気に直しながら。
…………これって、嫌われてる?
い、いや!まだわからないじゃないか!うんっ。
「……お、おーい…」
「……(シーン)」
「これならどうだっ」
手に持っている漫画を奪って、テーブルの上に置く。
「……(ぷい)」
それをされ、千花はごろんと身体の向きを変えてうずくまった。
無視、頑固として黙っている気ですかそうですか。
なら、こちらとしても考えがある。
「……せーのっ」
「──……!」
今頃反応しても遅いぞ。もはやこっちの手の中だ!
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ……!」
「……んぁ、にゃ……ぁっ、ふぁあ……っ」
僕はこちょこちょで無理矢理にでも妹とコミュニケーションを取ろうと思った。
「こちょこちょだぞ、ほら、お兄ちゃんと話さないと止めないぞ!?」
「……ふぁにゃっ、ふっ、んぁ……んんっっ」
ちょっと色っぽい声を出して反抗する千花はとてもかわいくて、イジワルしてやりたくなる。
「ほらほらぁっ、意地張ってると、止めるに止められないぞぉ??」
腋に始まりお腹、背中、脚や足の裏に他にも首もとなどくすぐる範囲を広げる。
「ぁ、く……むぁっ……ふにゃんっ!?」
くすぐっていてわかったことがある。
なんと、妹の千花は首が性感帯だったのだ!
……そんなにエロい声を出して、誘っているのかい?
「……うぅぁ……はっ、ふぁむぅ、んあ……っ」
必死になって漏れる声を抑えているが、どんなにしてもかわいいから続けたくなる。イジワルしたくなる。
首を重点にくすぐってく。
「…………ぁ、んんんん、っくぁ、はっ……んく、んぁ……やめ、やめて……ぁあっ」
「……は!」
妹のひさしぶりの声を聞いて目が覚める。
「……はぁ……はぁ……ん」
シャツは乱れ左肩とお腹が露出して、スカートはめくれて白いシンプルな下着は丸見えになっていた。
息を整える為に呼吸をするが、舐めたのか艶やかな唇も相まって色っぽさが増していて、なんとも背徳的な図が出来ていた。
「……あ、えと……ごめん」
「……はぁ……ん(キッ)」
「──!」
千花は怒っているのか、睨んできた。
口には出さないけど、どうやら何か言いたげだ。
「……」
無言で服の乱れを直して部屋から出て行った。漫画を忘れず手に取って。
水をもう一口分飲んでから一度自室に戻り、カメラを手にまた一階へと降りた。
さっきこっそりと妹の部屋を見てみたけれど、そこには姿はなかったから、お風呂かな。
脱衣所を見ると、カゴには着替えと思しき服が畳んであり、洗濯機の中には雑に脱ぎ捨ててあった。
うん、間違いない。妹は風呂場にいる。
現にシャワーの音がリアルタイムで聞こえている。それが妹が入っていると思うと、妙に興奮を覚えてならない。
ジッとしていられずに扉を音を立てないようにゆっくりと開けて、持ってきたカメラのボタンを押して録画をする。
●REC.
──サー……。
『~~♪』
──サー……キュッ。
ペタ、ペタ……ポチャン
『ん。くす』
──ザバアァン……
『……~~~、~~♪』
妹は気持ち良さそうに鼻歌なんて歌いながら湯船に浸かっている。
僕も一緒に入りたい……!
けど、我慢だ。ここて突入したら不自然だ。
……?不自然か?兄が妹とお風呂は不自然なのか?否、否だ!何を恥じることがあろうか、妹とお風呂は兄の義務なのだ……!
てなわけで。
服を脱いで洗濯機に放り込み、生まれたままの姿というありのままな格好になって、いざ聖地へ!
──ガララ
扉を開けて、一言
「妹よ、兄もはい──ぐぶぇっ」
見た瞬間に妹は反応して桶を僕に投げて見事に眉間辺りに命中した。
だがしかし、僕は諦めない。
「お兄ちゃんと一緒に入ろう!」
「──(ぶんぶんぶんっ)」
いやいやと思い切り顔を横に何度も振る妹。
「何で!?昔はあんなにもおにぃたんおにぃたんって言って一緒に入っていたのに!!」
「そんなの関係ないよっ!」
「!?」
「──!」
やっとまともに声を聞けた。
観念したかのように、咄嗟に口に当てた手をどかす。
「……お兄ちゃん、いつも強引過ぎるよ…」
「え」
そんなことないと思うけど。
「そんなことないって思っているんでしょ……けど、もう嫌なの。お兄ちゃんに振り回されてばかりは」
そう言い、千花は呆然とする僕の横を通り過ぎて、着替えを持ってその場を去った。
「……」
あんなに強気な妹を見たのは初めてだった。
夜。今日やった授業の復習と、明日の授業の予習を済ませてから軽く身体を柔軟とマッサージしてから、ベッドへと潜り目を閉じる。
「あ、電気……」
明るいままなのに気付いて電気を消してからサイドベッドに入る。
目を閉じて妹の千花のことを思う。
甘えん坊な妹。
純粋で無垢な妹。
着いて来るのが嬉しそうな妹。
同じことをしたがる妹。
食わず嫌いな妹。
ひとりで着替えられない妹。
思い出すのは、いろんな妹の姿。
兄としてどれだけやってあげられたか……わからない。
けど、自立するにはやっぱり僕は要らないのか……うぅ、泣けてきた。
なんでこうなったのだろうか。不甲斐ない兄だからかな……僕が。
目から頬に一滴の雫が伝った頃、部屋の扉は音を立てた。
──トントン
かなり小さな音だったけど、静かだったおかげで聞こえた。
ここは眠っているフリをしよう。
このまま出ても気まずいだけだしな。
「……お兄ちゃん……寝てる?」
寝てますよ。フリだけど。
起こしたらまずいと思ってるのか、ゆっくりと扉を開けて入ってくる。
て、部屋に戻らないのか。
なんだろうか。不出来な兄である僕を殺しに来たのだろうか。なら本望だ。
「……はぅ」
謝りに来てみたけどやっぱり喧嘩のあとだし原因は自分にもあると思ってるから自分からはなんだか恥ずかしい的な声出したな。
「……ごめんな、さい……」
──許す
そう言ってやりたいけど、なんかタイミング掴みづらいな。
「……お兄ちゃんの、寝顔……かわいい」
枕元まで来て、発言がそれか。
お前の方がかわいいよ、ハァハァ。なんて。
「その……お兄ちゃん……大好きだよ」
「僕もだよマイスウィートシスター!」
「ににゃ!?」
──あ。
『好き』という言葉に反応してしまった。
これで狸寝入りは通用しない。
「にゃにゃ、なんで……寝てたはずじゃ……っ」
「なんでだと思う?」
千花の手を取り、胸に持ってゆく。
「好きだから、だよ」
「──っ」
妹の顔からボンッと音がしたと思ったら、真っ赤になっちゃって。
もう、かわいいんだから。
「……はうぅ……反則だよ……お兄ちゃん」
恥ずかしながら握ってない逆の手で顔を覆う妹……萌える!
「かわいいよ、千花」
そういって頭をなでる。
「うぅ~~~~っ」
照れて反応に困ってるみたいだ。
なんて愛おしいんだ。我が妹は。
「一緒に寝るか?」
「──あぅ」
「おいで」
手を引いて隣に導く。
抵抗はしないで恐る恐ると言った感じな妹の千花。
体を寄せると、華奢で柔らかい感触が伝わってくる。
これが僕の妹、千花の感触……安心感あって、温かい。
「……お兄ちゃん」
「なんだい」
「寝たいから離して」
「あ、あぁ……そうだね」
少し甘い言葉を期待していたから、ガッカリ感が半端ない……けど、良く見ると千花の頬が赤みを帯びてる気がする。
もしかして……照れくさいとか?
「かわいいなぁ、もうっ」
「はにゃー!?」
「僕の妹!最高だよぉっ」
「ちょ、やめ……」
昔から見てきた妹の体は成長していて、心も成長を見せて……いろんなことを覚えて、育って……これだから妹って──
「……くっ、……ぅうっ」
「……お兄ちゃん……?」
「ごめ、なんでもないよ。ちょっとゴミが目に入っちゃって」
「お兄ちゃん……よしよし」
「……千花?」
「頭なでられると、落ち着くよね」
「……」
頭をなでられたのは、いつぶりだろうか。
親は共働きでほとんど家にいないし、兄だから、年上だから妹の面倒は自分で見なくちゃって……だから、本当は……僕が甘えたかったんだな。
「ありがとう」
「……うん」
「少し楽になったよ」
「良かった。あのね……」
「ん?」
「私も……お兄ちゃんのこと、大好きだよ」
「……」
僕はその瞬間言葉を失った。
大好きで大切で、大事な妹からのたった一言で、こんなにも救われるなんて……僕はなんて幸せ者なのだろうか。
「……ち…か」
「なに?お兄ちゃん」
「──千花!」
「ちょ、お兄ちゃん……なんなの」
「千花ぁ……あはは」
抱き締めた。
力いっぱい、想いをいっぱいにして、最愛の妹を胸いっぱいにして。
僕はやっぱり、妹が好き。
大好きなんだ。
「千花、好き」「うん」「大好き」「……うん」「誰よりも、愛してる」「うん……うん」
そこに妹がいて、僕がいる。
それだけで僕は嬉しい。胸から溢れる愛しさ。
優しい光に包まれてるようだ。
「……生きてて、良かった」
「おおげさだよ……お兄ちゃん」
「おおげさなもんか。本気でそう思ってるんだからなっ」
こんなにも恵まれているのだから。
心底そう思える。
「……ごめんなさい。お兄ちゃん」
「ん、どうした?」
「謝りたいの」
「ん?無視してたことはもういいんだよ?」
「そうじゃなくて……それもあるけど、その……お兄ちゃんにいつも迷惑かけてる、から……」
「え、そうだっけ?」
「お兄ちゃんはいつもそうやってなんでもないようにするから……!」
何か気にしてるようだ。
「うーん。僕は千花がいてくれたら、それだけで充分嬉しいから」
どんなに悲しい時、つらい時、妹のことを考えるだけで力になる、勇気を貰える。
メゲずにいられる──。
「お兄ちゃん……っ」
「どしたどした。泣いてるのか?」
「泣いてないもん……目にゴミが入ったから、お兄ちゃんの服で拭ってるだけだもん」
「それなら仕方ないね」
胸で泣きじゃくる妹の頭をなでて、落ち着くまでそのままなで続ける。
「……お兄ちゃん」
「ん?」
「キス……して」
「うん……ん?今、なんて?」
聞き間違え?
「キス、して」
「……あー、明日の夕飯に鱚焼けばいいのね?」
「魚の話なんてしてないっ。ちゅー、ちゅーしてって言ったの!」
「魚だなんてよくわかったね」
「誤魔化さないでよっ。こっちは、本気なんだから……っ」
「……」
目元に涙を溜めて上目遣いで見上げる妹の姿を見て、本気なのは伝わった。
けれど、血の繋がった……妹なのだ。
本当は異性としていろんなことをしたい。してあげたい。
だけど、妹なんだ。
それは言い訳……言い訳に過ぎない。
僕だって妹の為ならどんなことでもしてあげたい。好きな人が出来たら応援してあげたい。いつまでも一緒ってわけにはいかないし、いつかは離れるかもしれない。それまではきちんとめんどうを見ようって、そう思っていたけど……。
うん。やっぱり、ダメだ。
妹である前に、一人の女の子なんだ。
僕には、魅力的で愛おしい大好きな女の子にしか見えない。
嘘も、冗談も偽りもいらない。
僕は……実の妹が、一人の女の子として愛しているんだ!
「千花……!」
「……お兄ちゃんっ」
「……」
「……」
お互いを見詰め、距離が近づく。
息がかかり、顔の距離が縮まってゆく。
唇と唇が重なる瞬間、お互いに目を閉じた。
「……ん」
お互いの唇が触れ合った瞬間、千花の息が漏れ、僕は胸がいっぱいになって満たされてゆくのを感じた。
柔らかい唇。甘い吐息。重なる想い。
僕らは『ひとつ』になる。
「……ん、はむ……んん、ぅん……」
何度もキスを交わす。
口をわずかに開いて、キスをしやすくする。
「んちゅ……ん、ちゅ……ん」
何度も、何度も。
「は……んちゅ、ちゅ……はふぅ、んちゅ……んんっ」
長くくっつけたり、ついばんだり、軽く合わせたり、何度となくキスをした。
幸せな時間。
もっと、もっと、この時間がずっと続けばいいと思った。
「……んちゅ……お兄ちゃ、はぅんん……はぁ……ちゅぷ……ん、っ」
何度もキスをしているうちにディープに重ね合わせた。
「んちゅ、ぷ……んちゅ、じゅるる……んちゅ、ちゅぷぷ、んは……んんっ」
舌を入れたり、入れられたり。
舌を舐めたり、舐められたり。
舌を絡めたり、絡められたり。
舌を吸ったり、吸われたり。
そんな……キスをした。
「……んちゅ、ぷはっ……お兄ちゃん……」
「……千花」
「大好きだよ……お兄ちゃん」
「僕もだよ、千花。好きだ」
『……』
長いキスを、交わした。
読んでくださり、ありがとうございます。宛です。
妹って、不思議な生き物ですよね。幼い頃は懐いていたのに、大きくなったら嫌われていたり。無垢なままな時代より、大きくなったらそれで魅力になったり。
──女の子って、難しいです──
表現が乏しい僕でありますが、今後も微々たる
力を出していけたらなと思います。
楽しんでいただけたのなら、それが一番でございます。