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異世界スローライフ  作者: てな
第一章
6/53

出会い

※注意!流血等、残酷表現があります※

☆ (side:アノス)


俺は、アノス、アノス・スターヴァント

王直属の騎士団、副隊長であり、騎士団で唯一の魔導騎士だ

魔導騎士と言うのは、聖霊や聖獣の加護を受け、その能力を駆使することが出来る騎士のことだ

加護を受けるだけでなら、一般人でも容易くできる

しかし、それを駆使することは容易ではない

加護を授けた者にもよるが、生半可にその能力を使うと死を招くことすらある

王国では、そういった加護もちを引き取り、養成、鍛え上げることで戦力を上げている

だが、加護もちの者が全て強くなれる訳でもない

訓練は厳しく、途中で逃げ出す者が多い

強くなっても、その力を私利私欲に使い、断罪される者もいる

そして、強くなった者は、国の戦力へ吸収される

俺もその一人である。俺の家系は貧しく、聖霊の加護を受けるなど思いもしなかった

俺が騎士団の副隊長に上り詰めたおかげで、裕福とまでは行かないが、それなりの生活が出来るようにまでなった

それも全て、聖霊のおかげである


騎士団の仕事と言っても、治安を維持するパトロール位だ

街の、城壁の外は、もっぱらギルド任せだ


ここで少しギルドの説明をしよう

ギルドと言うのは、冒険者を募り、討伐や採集、採掘を受けて貰う場所だ

依頼人から報酬を受け、何割かをギルドの維持費へ納め、残りを冒険者へ支払う形になっている

ボランティアで、報酬が払えない依頼を受けることもある

その場合、国の審査があり、実際に依頼が出されるのが遅くなってしまうのがデメリットだ


話しを戻そう

俺は、そのパトロール中である

いつもどうり、日常になっていた日々

しかし、今日はその日常とは少し違っていた


騎士団のパトロールにチョッカイを出すのは緊急時以外、公務執行妨害にあたり処罰の対象になることだ

そんなことをする者は、まずいない

しかし、それがおこった。小さな女の子が俺の足に抱き着いてきたのだ

俺が足を止めると、必然的に兵たちの足も止まる

兵たちは、何だ何だとこちらを窺ってくる

そして、兵の一人が女の子に気づいた


「この無礼者め!騎士団の、しかも、副隊長殿の足を止めるなど、難たる愚行!その命をもって償え!」


あっ、キレた


俺が、その兵が言う副隊長の俺が判断を下す前に、兵は女の子に斬りかかる


「やめろっ!」


しかし、俺の制止を聞かず振り上げた剣を、そのまま降り下ろす


俺は、何とか止めようと剣に手を伸ばすが時間がない

それでも、俺は女の子を助けたい

何かの間違いかも知れないのに、切り捨てごめんじゃあ気分が悪い


俺は、仕方なく腕で剣を防ぐ

剣が腕へ食い込むのがスローモーションのように見える

腕へ食い込むに連れ、痛みがする

訓練でも怪我はするが、ここまで酷いのは指で数える程しかない


腕の三分の二あたりまで斬られた時、硬い物に当たった感覚と共に、衝撃が一気にきた

恐らく、骨にまで達したのだろう


俺が、永遠にも等しい痛みを味わっているなか、兵の顔が見えた

その顔は、驚愕や恐怖の感情が読み取れる


そうなるなら、初めからやるなよ…


俺は、心の中でそう罵った


永遠にも等しい痛みも、終わりを告げた

骨にまで達したが、何とか防ぎ切った


一つの命、腕一本なら安いだろう

そう思っていた時、暫く放心していた兵が我に返った


「あ…あっ!俺のせいじゃない、俺のせいじゃない!そ、そうだ…みんな、その女が悪いんだ!そうなんだ!俺は悪くないんだっ!」


これだから、良いとこの坊っちゃんは…

自分の罪を認めず、他人に擦り付ける

全く、騎士が聞いて呆れるわっ


兵の手から剣が滑り落ち、腕から抜ける


「いちちっ…」


流れ落ちる血が女の子顔に垂れる

顔に血が付いたことでようやく周りのことを理解したようで、慌てた様子で俺の顔を見てくる

俺は、女の子を安心させるように微笑むが、たぶん顔は引きつっているだろう


女の子は俺から一歩離れると、ぶつぶつと何か呟いている


すると、突然目を見開いたと思ったら、女の子の手から光りが放たれた

その光りは、俺の斬られた腕に当たると包み込むように消えた

そこから、驚くべきことが起きた

なんと、斬られた腕が治り初めている。まるで、逆再生のように


それから数分もしない内に腕は、元通りになった

いや、最初と比べると全体的に身体が重い

女の子が放った光りが治癒魔法なら、辻褄が合う


治癒魔法と言うのは、基本的に受けた本人の治癒力を高め再生する魔法である

その原理は、細胞を魔力で刺激し、劇的に治癒力を高めることだ

しかし、当然デメリットもある


大量の魔力が必要なのと、その傷が治るまでの、時間と範囲を見極めなくてはならないこと

それに、根本的に本人の治癒力を高めるだけであり、治癒に必要な体力は失われる


そのせいで身体が重いと感じたのだろう


治った腕を振ったりして確かめていると女の子が話しかけてきた


「ごめん、なさい…!私の、せいで…怪我したから、治した…大丈夫…?」


ちょっと舌足らずなのが可愛い女の子だ


「あぁ、大丈夫。ちゃんと治ったしね。でも凄いね、その年で治癒魔法使えるんだよね?」


女の子は、やってしまったと言わんばかりの顔をした

何か隠していることがあるのだろう

まぁ、事情聴取のために王宮に来て貰うから、そこで何か聞けるだろう


「お嬢ちゃん?これから少しお話しを聞くことになるから王宮まで来て貰ってもいい?」


女の子は、少し躊躇いながら頷いた


「うしっ、じゃあ行くか!」


俺は、一応逃げ出さないよう、お姫さま抱っこで抱える

女の子は、恥ずかしがってはいるが抵抗はしなかった


その可愛いらしい仕草に笑みを浮かべ、王宮へ戻るため踵を返し、歩みを進めた…


☆ (side out…)


やっぱり、自由な時間が少し増えるだけで

書ける量も違いますねぇ

流血等、残酷表現がこれからもありますが

ちゃんと注意書きはするつもりです

気分を悪くされた方は注意書きがあるところは

読まれない方がよいです


豆知識:指で数えれる数は、両手を使い、二進数で数えれば0から1023まで数えれます(結構便利)


最後に、アノスさんはカッケーです!



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