夏休み 6
何だか...バランスがヤバい...
『魔王を倒した勇者様は、世界征服など容易いのではないか?』
「そんな事しない!」
『さぁ?どうであるかな?』
「出来たとしても、する理由が無いです!」
『ほほぅ、皆さん聞きましたか?勇者様のお力は、世界を手中に収める事が出来るらしい...』
『おおぉ、それは我々としては良くないお話ですなぁ?』
「で、でも!折角救った世界を、征服するなんて!」
『もしや、征服に邪魔な魔王を倒すと共に、信頼を得て手ごまに使用としたのでは?』
「だから、する訳が!」
『もうよい...勇者様、貴女には魔王城の先、北の果てへ行って貰います』
「そ、そんな!」
『ふんっ、我々にはもう用済みなのですよ...では、連れて行け!』
「そんな!待って下さい!いやーーーっ!」
......
そこで目が覚めた...
「...夢」
久しぶりに見た、昔の嫌な思い出
最近は、アノスさんの事ばかりだったのに
「あ、汗凄いや...」
取り敢えず、汗を洗い流すためお風呂に入った
朝食は...食欲ないかなぁ、コーヒーで済まそう
そう決めて、別荘のキッチンを借りてお湯を沸かす
「ふぅ...」
一口つけ、息を吐く
悪夢...と言っても、ただの嫌な過去に過ぎない
でも、気持ちを落ち込ませるには十分な、酷い夢だ
「アノスさん、今日抱きしめてくれないかなぁ...」
ギュッとして、癒してほしい
「ん、抱きしめて欲しいのか?」
「はい...ん、え?あ、アノスさん!?いつの間に!」
「いやまぁ、今起きて来たんだが...何かあったか?」
「はい...少し悪い夢を...」
「ん、実は俺も少し悪い夢を見たんだが...慰め合うか?」
「はい、そうしましょうか...」
アノスさんの分のコーヒーを淹れて、悪夢の内容を教えた
「んー、それは結局カリーシャちゃんの過去な訳だろ?」
「はい...」
「なら、簡単だ...忘れて楽しいことだけ考えればいい」
「え...?」
「今楽しければいい、どうせ過去の事だろ?それにここじゃない、別の世界何だからそんな気負いする事は無い」
「そう、ですね...何だか軽くなった気がします」
「そうか、力になれたなら良かった」
「それで...アノスさんの悪夢とは?」
「あー...いや、言いにくいんだが...」
「?」
「実は、カリーシャちゃんが居なくなる夢を見てな?」
「ふふふっ、それはありませんよ?私はずっっとアノスさんの傍に居ますから」
「...そうか、俺は傍に居ていい存在か?」
「はい、当たり前です。恋人ではないですか」
「...何時かは、子供も欲しいものだな...」
「え...!そ、それは、私と交わりたいとい、言う事ですか...?」
「え...?あ、いやそう言う意味で言ったんじゃっ!」
「そうですよね...私との子供なんて...」
「あ、いや!ほ、欲しいが...い、今じゃなくて、もっと仲を深めてからと言うかっ」
「ふふふっ、アノスさん可愛いです」
「あ、からかったなぁ!」
「ふふふっ、大好きですアノスさん!」
「っ...あぁ、俺もだ」
お互いに顔を近づけ、唇を触れ合わせる
「ん...」
そして、数秒後...
「ぷはぁ...長いですよぉ」
「ははは、カリーシャちゃんを長く感じたかったんだよ」
「もうっ...そろそろ、カリーシャって呼んでくれませんか?」
「ん、そうだな。恋人は呼び捨てがいいか...」
「はい!呼んでみて下さい」
「ん、では...カリーシャ...」
「はい...」
そしてまた、無言で顔を近づけ...
「んにゅ...カリーシャちゃんお早よ...?」
「「あっ」」
...!!
「あっ、いやこれは!」
「...ん~?なにぃ...?」
「え?」
シルフィはまだ寝ぼけているようで、目が閉じている
「と、取り敢えず!シルフィはまだ寝てて!」
「...ん、わかった...」
ほわぁっと可愛い欠伸をしながら部屋へ戻って行って
「ふぅ...危なかったですね」
「あぁ、そうだな...」
「続きは...」
「また後でな?また誰か起きて来るかもしれないから」
「...はい」
それから、アノスさんとのお話タイムを楽しんだ...
その空間の外、一枚の扉を挟んだ所
「くそっ何で!何で!俺には彼女が出来ないんだっ!!」
一人のシバと言う人物が、嘆きの叫びを上げていたのであった...
シバ、大丈夫!君にはバフォメットがいるから!
※まじです




