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「クズプログラマーだった俺が異世界で美少女たちを強化し、影の軍団“レイス”を作った件」  作者: ジャクロの精霊


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24/111

これは、俺の“選択”だ

夜明けがヴァルネスの大地を黄金の光で包んでいた。

風は穏やかで――久しぶりに、世界が「静けさ」を取り戻したようだった。


ハルトは村の門の前に立っていた。

その背後では、仲間たちが出発の準備をしていた。


ルナは無言でリュックを握りしめ、

レイナとマリは最も効率的なルートについて議論中。

アイコは空を見上げており、まだ「生き延びている」ことに実感がないようだった。

そしてリカは、ギター型の大鎌のケースを静かに背負っていた。


村人たちが見送りに集まり、

涙を流す者、拍手を送る者もいた。


「ありがとう、レイスたち!」

「またいつか戻ってきて!」

「私たちのヒーロー!」


ハルトは微笑んだ――

今度は、心から。


かつてなら、こうした言葉は「偽り」に聞こえた。

心の奥では、まだあの命令が響いていた。


――「信頼度:100%」


けれど、もうその痛みはなかった。


ルナは自分の意思で、彼のそばにいた。

リカは自ら変わり始めた。

このチームは魔法で縛られたものではない。

選び取った絆だった。


「準備はいい?」とルナが聞いた。


「ああ。もう迷いはない」


「何に対して?」


ハルトはすぐには答えなかった。

彼は両手を見つめた。

かつて、最も忌み嫌ったこの手を。


(今度こそ――この手で作るものは、本物だ。

どう始まったとしても)


歩き出す音が響く。


村の人々の声が背中に届いていたが、

その先にある道は、誰にも分からない未踏の地。

そして、遥かに危険だった。


――最高だ。


数時間後、一行は森の中で短い休憩を取った。


他の少女たちがテントを張っている間、

ハルトはリカと二人きりで腰を下ろした。


「ここまで来るなんて、思ってなかっただろ?」


「全っ然思ってなかった」

リカは肩をすくめて笑った。

「でも、正直……この感じ、嫌いじゃない。

外の空気、スリル、誰にも命令されないっていう自由」


ハルトは微笑んだ。


「じゃあ、しっかりついてこい。

これは、始まりにすぎないんだから」


リカは彼を横目でちらりと見て、

わずかに頬を赤らめた。


「別に、あんたのこと好きとかじゃないけどさ……

死んだら、魂ぶん殴るからな」


「死なないって、約束する」


少し離れた岩の上で、マリとアイコが彼らの様子を見ていた。

マリは壊れかけた端末を調整しながら、小さく呟く。


「なんで見ちゃうんだろう……

自分でも、何を感じてるのか分からないのに」


アイコは答えなかった。

ただ自分の膝を抱きしめていた。


さらにその背後――

ルナは全員を見守っていた。

そこに嫉妬はなかった。


あったのは、静かな受容。


(彼はもう過去に縛られていない。

それだけで、十分)


その夜――

星空の下で、ハルトはこれまで抱けなかったある想いに身を委ねた。


(俺は――失敗作じゃない。


偽物じゃない。


今、手にしてるものは……俺のものだ)


そして、彼は初めて――


穏やかに眠った。

新たな地へ。新たな関係へ。

自分を赦すことは、時に最大の“戦い”。


次回、新章突入──危険な王都への旅路が始まる。

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