:反撃の狼煙──“バッド・ガールズ”作戦開始
夕暮れが空を血のような赤に染めた頃、彼らはヴァルネスの村に到着した。
家々は素朴で、道は埃まみれ、人々の顔には恐怖が浮かんでいた。
「家畜がいなくなってるんだ。いくつかの家も襲われた」
村の長である灰色の髭を蓄えた男がそう説明した。
「そして今では… 奇形の狼の目撃が増えている」
ハルトは地図を見つめた。
「南からの襲撃。パターンがある」
ルナがうなずいた。
「防御を試してる。奇襲じゃない。包囲だ」
「任せてくれ」
リカが一歩前に出て言った。
他の三人は彼女を見つめた。しかし、誰も否定しなかった。
「本気で言ってるの?」とレイナが聞いた。
「うん。昨日話したでしょ?
力はある。でもチームで戦わなきゃ…意味がない」
その夜、ハルトとルナは農場の屋根の上から見張っていた。
少女たちは計画通り、それぞれの持ち場についた。
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マリは最も高い場所に配置された。
そこで彼女は「コードロック」の能力で戦場の流れをコントロールした。
敵の動きを数秒間止めることができ、その僅かな時間で流れを断ち切る。
「ポジション3。動きあり」
彼女は魔法の印で作った即席のパネルを通して報告した。
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アイコは震えながらも、グループの後方に位置していた。
彼女の役割は、仲間が倒されそうになった瞬間に「ウェーブパルス」を放つこと。
「失敗できない…失敗できない…」
彼女は深く呼吸しながら呟いていた。
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レイナは炎の花を回転させながら、周囲を巡回していた。
「絶対に通さない。1匹でも抜けたら…焼き尽くす」
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そしてリカは、罠を締める拳だった。
「シャドウインスティンクト」の能力で高速移動し、倒し、斬り…再び影へと戻る。
作戦は機能していた。
奇形の狼たちは夜明けと共に現れた。
最初は4体。続いてさらに7体。
少女たちは――一つのユニットとして応戦した。
「ロック完了!」
マリが叫ぶと、一匹の狼が動きを止めた。
「今だ!」
アイコが、飛びかかろうとした別の狼に向けて波動を放った。
レイナは「エレガンスフレイム」を発動させ、炎のエリアを作り敵を一箇所にまとめた。
そしてリカは…残酷な影となった。
「喰らえ、この野生のバカ犬ども!」
彼女は一体の胸を正確に切り裂きながら叫んだ。
さらに二匹が倒れた。
一匹が包囲を抜けようとした。
「ダメ!」
マリが叫んだ。
だがすでにレイナがそこにいた。
「爆ぜなさい」
炎の花がそれを包んだ。
火。
灰。
静寂。
屋根の上で、ハルトは腕を組んだ。
「…すごかったな」
ルナが軽く微笑んでうなずいた。
「ちょっと荒っぽいけど、効果的。あんたみたいに」
ハルトが笑った。
「わかってるか? 今ので自分たちの戦い方を作ったんだぞ」
「うん。
しかも、機能してる」
すべてが終わった後、村の長は食事と宿、そして感謝の言葉を彼女たちに贈った。
「君たちはただの少女じゃないな」
彼は敬意を込めて言った。
「そうよ。私たちは違う」
リカが答えた。
4人は互いに視線を交わした。
汗まみれ。
傷だらけ。
けれど、その瞳は燃えていた。
そして彼女たちの心の中には――
「Bad Girls Tactics」という名が、すでに誇り高い称号として刻まれていた。
4人の少女、1つの戦術。
汚くても、勝てば正義。
「バッド・ガールズ」、始動──
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