幼い頃から恋を知らずに育った杏奈は高校入学で出会った目つきの悪い健との出会いをキッカケに少しずつ変わっていくのであった
桜の葉に混じるかなような綺麗なピンクの髪色をした彼女は椎名杏奈今年からこの学校に入学する1年生である。
小さい頃から人付き合いが苦手で彼氏どころか友達すらできたことのない彼女は、この高校で友達あわよくば彼氏が出来ないかなという考えを持ち陽キャの安易なイメージから髪をピンクに染めてきたのである。
「おはよー!」
後ろから声をかけられて振り返るとそこには幼馴染の拓海がいた、顔もよく背も高く髪も金髪でモテる要素しかないが、彼の内面的な部分はガサツで大雑把内面を知っている私は彼に惹かれた事はない、彼とは家が近所でよく家族絡みで出かけたりもする、友人とはいえないかもしれないが気軽に話せる1人である。
「おはよ、拓海」
「何だその髪色?高校デビューってやつかw」
「笑わないでよね!結構勇気出して美容院行ったんだから!」
「悪い悪いでも目立ちそうだなその髪大丈夫か?」
「大丈夫!鏡の前で話す練習もしたし何人に話しかけられようともどんと来い!ですよ」
「へぇー、小さい頃は俺とですら話すの緊張してたくせにw大きくなったもんだなぁ」
「うるさいな!拓海には関係ないでしょ!私はここで友達100人作るんだからね!」
そんな事を話しているうちに学校のチャイムが聞こえてきた、長々と話していため遅刻寸前である、少し駆け足にしなければ間に合わない。
「あーもう拓海のせいだからね!あとでなんか奢ってよね!」
「はいはい分かったよ、取り敢えず急ごうぜ」
校門を閉められる寸前でどうにか間に合った、拓海と違って体力がないためかなり疲れたように感じる。私のクラスは1ー2拓海は1ー4である。荒れた息を整え、いざ行かん!と戦国武将のような意気込みで教室のドアを開ける。するとクラスの視線が杏奈に集まる、ドアを強く開けすぎてしまったのだ、顔をトマトのように赤面させ何事もなかったかのように席に着く、この何気ない一連の動作の中、杏奈の心臓は今にも破裂しそうな勢いであった。
その数分後再び扉が開いた、このクラスの担任であろう、背はまあまあ高くスラッとした体つきであらうえに伊達のメガネもしている、いかにもしっかりとしたという感じの教師である。
「1年間このクラスを担当する兵藤美香です、よろしくお願いします。それではまず初めに皆さんの自己紹介をお願いします。」
キタ!学校最初の難関ポイント、ここで自分をハッキリアピールできれば皆の印象にも深く残るであろう、ただし失敗すれば今後の学校生活で、どのような影響があるかは見ないでもわかる。
そしてついに杏奈の番がきた
「椎名杏奈と申します!趣味は料理と音楽を聴くことです、よろしくお願いしましゅ。」
「あ、終わった...」
彼女の頭の中は恥ずかしい、という感情を超えまるで宇宙にいるかの如く無になっていた