表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

 画面の向こうからやってきたロマン

第1話 画面の向こうからやってきたロマン


「あ、が……」

「そんな、ことが……」

「ま、じかよ……!!!」





 古井は言葉を忘れたように口を開けて呆け、歴戦のハンターである小林も体が硬直して動かない。稲川は手に持つ警棒を現れたモノに向けているが、完全に膝が笑っている。そんな中丸井だけが恐怖とは違う、興奮を滲ませた声で呟いていた。



 茂みを破り、彼らの前に悠然と現れたのは巨大な爬虫類だった。ドシン、という重厚な足音を立て草木を踏みつぶし、尾の一振りで木々をなぎ倒し、口の間からは数十センチはくだらない鋭い歯が見え隠れしている。



 目撃情報のあったティラノサウルスのような生物が現れた。そして目撃情報の通り、白衣のような服がその強靭な脚の一部を隠すようにはためいていた。



 古井達はただ見上げるばかりだ。そしてティラノサウルスもどきは周囲を見回しながら何かを嗅ぎ取るかのように鼻を鳴らす。そして目線がゆっくりと四人の方へと向いた………








『おや、先住民の方々ですか。こんにちは、私はインテレックス。良ければこの辺りのことを教えていただけませんか?』

「やっぱインテレックスだぁぁぁぁ!!!」




 抑えきれなくなった丸井が爆発したように叫んだ。残りの三人とインテレックスと名乗った彼は丸井をただ茫然と見ていた。丸井が暴走したせいで真っ先に突っ込むべきところが流れてしまうところだ




「ちょ、え?! この恐竜、喋った?! てか丸井君、知ってるの?!」

「知ってるも何も!! 今日センパイに連れてこられなかったらやろうと思ってたゲームに登場するモンスターですよ!!!」



 少年のように目をキラキラさせながら丸井はインテレックスを見つめる。その様子がを見てインテレックスが少し安心したかのように溜息をこぼす



『私たちを知っているのですか? それはよかった、凶悪な先住民だったらどうしようかと思っていましたよ。なんせこの見た目ですから、問答無用で攻撃してくるものも少なくなくて……』

「ゲームでの人の世界はともかくリアモンの世界はね……」



 なんだか二人で通じ合っているが他の三人は置いてきぼりだ。 なんなら壁の向こう側の人たちも置いてきぼりだ。なんなら三人は自分自身の正気を疑っているほどだ。誰だってそうなる。俺もそうなる。





∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇




 そもそも『リアライズモンスター』、通称リアモンとは何か? それは世界中で大人気のゲーム『リアライズモンスターシリーズ』に登場するモンスターの総称で、(株)クレイジーゲームスが世に送り出している大人気コンテンツである。



 リアモンが住むとされている世界『アザースペース』は電脳世界と異世界、そして現実世界の狭間にあるとされ、時折リアモンが現実世界にやってきたり、逆に人がアザースペースへと迷い込んだりすることがあるという設定だ。



 主人公は作品ごとに様々な星からパートナーとなるリアモンを連れて様々な世界の垣根を越えて冒険し、仲間を増やしたりリアモンを育てたりしていくことになる。ストーリーは作品ごとに、世界の存亡をかけて戦ったりするストーリーや、四つの世界で最も強いリアモン使いを決めるトーナメントに参加したり、リアモンを使って悪事を働く組織と戦ったりとバラエティーに富んでいる。



 まぁ色々言ったが、要は憧れていたゲームの中の友人が現実に現れたのだ。好きな人からしたら堪らないものだろう。今やリアモンは世界でも好きか嫌いかは別として知らない人はほぼいない、動く金は兆超えのバカデカいコンテンツなのだ。サブカルチャーに疎い古井ですら知っているマスコットリアモンもいる。




 そうしてすったもんだあって、今日この日は現実と非現実が衝突事故を起こした記念日として『リアモンショック』の名がつけられ、世界に一日休日が増えたのであった。












ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ





『インテレックス』(インテリジェンス・レックス)


亜竜種 地走類ちそうるい 


属性 無・竜




 巨大なティラノサウルスのような姿に何を思ったか体躯に見合う特大の白衣を着せたような姿のリアライズモンスター。(実際この白衣はこのモンスターの皮膚の一部なので脱げない)




 知性インテリジェンスが名前に入っている通りかなり頭がよく、言葉による意思疎通だけでなく様々な文化にも理解を示す寛容な性格。今まで経験したことや知識を全て頭で覚えており、自分の知らない新たなる知識に目がない。


 その大きな体長や質量による周りの小さな生き物とのスケールのズレに悩んでおり、同種以外の親しいものを傷つけることを恐れている。己の知識を本やレポートに纏めるのが夢だが、腕がモチーフとなったティラノサウルスのように極端に小さく筆を執れない上手元が見えず書くことすらままならないのが一番のネックである。




 食性はこの容姿で雑食であり味覚も発達していて五味も感じ取れる。人が作る料理や自然界にはない強い甘みを持つお菓子などに強い興味をひかれているが、やはり要肝心の手が使い物にならないので時折テレビなどで料理系チャンネルを見ては憂いある表情を浮かべているという。




 比較的人類に対しては温厚ではあるが、その体格差でふとした瞬間に致命的な傷を意図せず負わされる可能性があるので留意されたし。





tips・亜竜種


 真竜種ドラゴンのような強い力を持つ絶対的な存在ではあるが、真竜種は魔法系の能力が発達している傾向に対して、こちらはより現実的で原始的な力が強い傾向があるドラゴンの一種。ドラゴンよりも強さのレベルは非常に幅広く、故にドラゴンよりも生態が多様性に富んでおり、非常にそれぞれ個性が強い。




tips・地走類


 読んで字のごとく、主に陸上で暮らすモンスターを表す。ただリアライズモンスターが確認されてから間もない時期、つまり初期に仮につけられた分類のためその分類は非常に曖昧である。今だに曖昧なのは慣例を覆した時の影響が大きいからである。


 例を挙げると翼を持ちながら主に陸で暮らすよく似た生態を持つリアライズモンスターが数種類確認されているが、その種類ごとに地走類か空翔類くうしょうるいか分けられている。




おはこんハロちゃお、懲りずに新作描いた節足動物です。タイトルは『リ・アライブズ』と読みます。リアライズとアライブの複数形です。何言ってんでしょうねコイツ。以前よりもずっと不定期になりそうですが、これからもこんなトンチキ生物とトンチキな人間のドタバタを書いていきますのでよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ