たまごクエスト!〜竜のたまごを******!〜
「王よりご命令が下った! 竜のたまごを守り抜け! 守り抜いたものには褒美をくれてやる!」
「「「「うおぉぉぉぉっ!!!」」」」
とある王国にて、国を守っているとされている竜がたまごを生んだ。
竜が住む広場に鎮座する、虹色のたまご。
それを守り抜けば褒美がもらえるとのことで、ほぼ全ての国民がその広場に集った。
「それは俺のだ!」
「いやいや、俺こそが守るのにふさわしい!」
「私には母親経験があるもの!」
その王国は小さな国ではあったが、ほぼ全ての国民が集えばその人数は五桁を超える。
その人数がたまごに手を伸ばし―――
「「「「「「あっ」」」」」」
――その人数分の圧力がたまごにかかった。
するとどうだろう。
たまごはピキピキと音を立てて割れていき、一度強く虹色の光を放って砕けていく。
前の方にいる人々は呆然とそれを見つめ、後ろにいる人々は何が起こっているのか分からずその光に困惑する。
たまごは完全に砕け散った。
その欠片は風に乗り空を飛んでいき、見えなくなった。
***
少しだけ時間は進み―――
「はぁ、これでよかったのか?」
『うん。ありがと、おうさま!』
―――王宮のとある一室で、中年の男性と小さな少年が向かい合って座っていた。
「一応ワシの名義で『竜は許している』と伝えておいたが、かなりの騒動じゃぞ?」
『むー。だってしょうがないじゃん。そうでもしないと、よけいにこんらんをまねいちゃうよ』
「はぁ。まったく、国を守ってくれるのは感謝しているのだがなぁ」
『そうだぞ、ぼくはこのくにをまもってるんだ!』
「どうしてわざわざ自分の魔力でたまごの殻だけ作って『ぼくのたまご!』と見せびらかしに来るかな……」
『うっ!』
「しかもワシだけの前ならいいものを、わざわざ他のやつもいる前で……」
『ううっ!』
『だって、いがいといいできだったからみんなにみせびらかしたかったんだもん……』
「そうか、うん、気持ちはわかるぞ、うん」
『ごめんなさい……』
「まぁ、反省してるならいいんじゃ。ほれ、お菓子食べるか?」
『……! うんっ!』
王国の混乱は、多少の混乱を犠牲に防がれた。
少し苦労性だけどとっても優しい王様と、その友達のまだ幼い竜。
二人の考えたクエスト、「たまごクエスト!〜竜のたまごを壊しちゃおう!〜」によって。