表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沖田ファミリー  作者: JUN
9/10

貴史と買い物に行きました(2)新しい友達

 昼食の後も、尚史が帰ってくるまで池谷もいて、ずっと一緒にトランプやかるたをして遊んでいた。

 そして尚史が帰宅し、四人で夕食を食べた。

「そんなことがなあ。

 春彦はけんかっ早いからな。気をつけろよ」

「フン。そんなヘマするかよ」

 春彦はそう言って冷笑し尚史は池谷に話しかけた。

「池谷も、悪かったな。息子の遊び相手をしてもらって」

「いえいえ。どうせ何も予定なんてなくてヒマでしたし」

 池谷はそう言って笑い、力の無い溜息をついた。

「どうした。まさか」

「はい。また自然消滅しました。忙しい忙しいってデートをすっぽかされてばっかりで嫌って。今日休みになったんで電話したら、とうに終わったと思って別の彼氏ができていると聞かされました。はは。はあ……」

 尚史と春彦は顔を見合わせてから、池谷の背中をバンと叩いた。

「運命の相手じゃなかったんだよ、な」

「理解してくれる人もちゃんといるから。お前の良さも、仕事も」

 貴史もよくわからないままに、元気のない池谷に、

「池谷さん、春ちゃんと友達になったから寂しくないよ。はい。どうぞ」

と言いながら、ノンアルコールビールをグラスに継ぎ足した。

「ありがとう。へへ。何か元気出てきたぞう」

 池谷はそう言って笑った。


 池谷が帰り、貴史が布団に入ると、尚史は春彦に訊いた。

「いいやつだろ」

 春彦はちょっと横を向いた。

「優しいとは思うけどよ。ちょっと、頼りなくねえか」

 尚史は少し頬を緩めた。

「刑事としては、優しすぎる所はあるかな。でも、いいやつだし、いい刑事になると思うぞ」

「ふうん。そうかあ?」

 春彦は疑わしげにそう言って肩をすくめると、

「じゃあそろそろ帰るぜ」

と家を出た。

 そして、

「軟弱そうだけどなあ。あんまり弱っちいのは、舎弟にもなあ」

と呟いた。


 池谷はアパートに戻ると、明日のために手早く入浴の準備をしながら冷凍庫の中に入った冷凍のお好み焼きをふと見て、春彦たちを思い出した。

「お好み焼きは確かに美味しかったなあ。

 でも、学生にケンカを売る所だったし、どういう人なんだろう。まあ、先輩の友達らしいから悪い人じゃないとは思うけど。

 でも、あんなに細くて筋肉もなさそうだったし、意外と口だけで腕力はなかったりして。はは。

 まあ、派手そうだし、これまで友達になったことがないタイプだったなあ」

 そう呟いて、冷凍庫を閉めた。



 

お読みいただきありがとうございました。御感想、評価などいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ