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パンドラの箱  作者: ルシア
第一章・再誕
4/16

03赤のジョーカー

継承

sideルウ


「ここは…」


ここには見覚えがある。

まるであの夢のような…


「【火魔法・クリエイトファイア】」


そう言うと私の指に小さな火種が現れる。

地球では絶対に起きない現象。

私の顔が真っ青に変わっていく。


「あ、ああぁぁ!」


もう戻れない、すぐに私はそれを理解してしまった。


― ― ― ― ―


今のはなんだ?

どこからか悲鳴のような物が聞こえた気がする。


「…?全名、ペースが落ちてるぞ!ペースを上げろ!」

「これ以上…って…か…」


あいつらは疲れ切っているが絶対に止まろうとしない。

それをすると私の罰が待っているからだ。


「お、おいエンド!?研究所が壊れてんぞ!?」


そう言うファーストの声を聞いて私は研究所の方を見る。

そこには壊れた研究所の壁と、そこから上がる土煙が見えた。

嘘だろ?まさか敵国の襲撃か…?


「全名!荷物を棄てて即刻事態の処理に当たれ!」


私はそう言って走り出した。


― ― ― ― ―

sideルウ


嫌いだったはずの両親、仲のよかった友人。

ただのお隣さんにも会いたい、私を知ってる人に会いたい…

帰りたい…

エンドと会いたかった、だけどそのために皆を捨てたい訳じゃなかった。


『そう思っても何も変わんないでしょ?』


どこからか私に似た声が聞こえた。


『私は君だよ。ようこそ、私の世界へ』


私の…世界?


…嫌だ。

嫌だ、元に戻してよ。

そう叫ぼうとしても口が開かない。


『君が願ったんじゃないの?』


その一言に言葉が詰まる。

確かに、私はエンドをひと目見た日から私はエンドに会う事を夢見ていた。


『なら、会いに行こうよ。君は私の力を知ってるでしょ?』


そう奴が言うと、私の前に金色の線のような物がふっと現れ消えた。

(スキル【完全耐性Lv1】【追憶Lv6】を獲得しました)


力が湧き出るような感覚がする。

一体なぜ私はそんなに怖がっていたのか?

そう思う程に快適だ。


私は血で何個ものナイフを作り出し、手にセットしていく。

これは吸血鬼であるからこそ為せる技だ。

私は魔力の使い方を知っている。


「【火炎魔術・フレイムグラント】【ラプラス】【魔力操作】」


私はおかしいと思っていた。

どうして魔力を消費するだけで土の柱が、水の柱が出来るのか?

私が考えたのは魔力はただのトリガーだと言う事。


この世界には5つの力があり、世界には地力と言う力が溢れている。

魔力を使ってその地力を操っていると言う事じゃないか?

その仮説は正解だった。


今の私とラプラスにかかれば酸素濃度とかを変化させるのも容易。

メタンガスの濃度をチョチョイといじってみたりするのも容易。


そしてメタンガスを施した空間に向かって炎属性を付与した短剣を投げつける。

すると大きな音が鳴りガスが爆発する。


暗い空間に明るい光が差し込み、眩しさに目を細める。

エンドを探しに行こう。


― ― ― ― ―


やっぱり敵国の奴らか…?

それとも…残りの三体とか脱走者どもか…?

それだとどちらにせよ生かして捕獲しないとなんだよな…。


「…面倒な事だ」


私はそう呟きながら翼をピンと伸ばして飛翔した。


「【ラプラス・血界弾】」


私がそう言うと私の手に赤い小さな弾丸が現れ、その先にポインターサイトが現れる。

ポインターサイトは…ズーム可能と…

当たるだろうか…まだ試した事が無い。

そう思いながら研究所の壁を見つめる。


何かがそこから飛び立つのを確認して私は血界弾を撃ち込んだ。

その弾は弾かれ、奴が私を見て微笑む。

黒髪?資料に居た奴にはなかった髪色、敵か?


奴の手に赤い大剣が現れ、それを投げつけてくる。

あの力は血界…だろうか?


まさか私以外に使える奴が居るとは…


「ククッ…」


何故かは分からないが…あいつが欲しい。

その思いが私を支配した。


「【血界】」


私がそう言うと左手を血が包み、右手に大鎌が握られる。

その左腕を赤い大剣に叩きつけると大剣が手に吸収され、左腕から大きな尖爪が生えて怪物のような腕に変わっていく。


「【ラプラス】【光魔導・ライトボール】【獄炎魔導・獄炎火球】【影魔術・影渡り】」


そう唱える十数のカラフルな光球が奴に向かい進んで行き、その後ろに大きな大きな火球が現れる。

それはどんどん加速していき、奴の影が濃く変わっていく。


襲撃の用意は周到に3つは用意しておかないとな?


空中で転移が出来る程影が濃くなった事を感知し私は影の世界へと入り込み、奴の背中に移動する。

そして奴が光球に気を取られている内に大鎌を振るった。


「【重力の魔眼】」


奴がそう言って、私の振るった大鎌は宙を切る。

奴は翼を畳み、大剣を私に投げつけながら降下して距離を取って行く。


「【血界弾】」


私は降下していく奴に向かって血界弾を連射していくとそれを避けようと降下の速度が落ちる。

ここらで少し速いのを撃ち込んでやるか。


「【爆裂魔導・爆裂】」


爆裂属性を付与した血界弾を奴に撃ち込む。

それは奴に直撃し、爆煙が辺りを包み込んだ。


「【風魔法・ウィンドクリスタル】」


見えなくなった爆煙を晴らそうと風の魔石を奴のいた場所に撃ち込む。

突風が煙を晴らし、そこにあったのは奴と2つの半透明虹色の板、そしてその板の間に挟まっている大きな鈍く光る弾丸。


その弾丸は私や奴と同じ程大きく、とても魔法で発射出来るとは思えない程だ。

その板が激しく点滅し、弾丸が浮く。


「ッ!?【ラプラス】!」


そいつは雷鳴を纏い、どんどん速く加速していく。

それに気付いた私はすぐにラプラスの思考加速を発動した。


その弾丸が完全に射出される頃には私が目に追えなくなるほどに加速していたのだ。


常人より格段に上の反射神経を持ち、ラプラスで何倍にも強化したその私ですら追えない。

どれだけ速ければこんな事が出来るんだ?


そんな事を考えながら生き残る最適解を考える。

魔術の構築が間に合う速度では無い、なら今発動している魔法でどうにかするしかない。

その中で最も強く役立つ魔法は血界だ。


「チッ…」


私は腕を伸ばし、その先まで血の腕を伸ばしていく。

弾丸をそれで弾こうとするがまぁ、無駄な努力だったな。

体を捻ってその弾丸を避けようとし、弾丸が私の左腕を貫き私の左手が千切れ飛ぶ。


「【火魔法・クリエイトファイア】…ッ!」


私は火で傷口を炙って腕の血を止める。

苦痛は軽減されているんだが…それでも痛い。


2回目は死にそうだな…

全力で殺さないと…最初に攻撃を放った方が勝つ。

私は大鎌を振りかぶり、奴へと加速していく。


「おい、どうしたんだ?」


そして違和感を感じて減速し、奴の前に降り立つ。

奴は泣いていたのだ、私を見て。


「あなたの…腕を…こんなはずじゃ…」


奴はそう言って涙を押し殺すように泣き始めた。

その様子に胸が痛む。

…なぜこんなに悲しいのだろうか?

こいつを知っている訳でもないのに…


「おい!?」


自分の心に答えを探していると、彼女が突然倒れた。

息はあるようだ、気絶か…?


― ― ― ― ―

sideルウ


そんな…

こんな風にはならないはずだったのに…

どうして…腕を吹き飛ばすつもりなんて…

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