01目覚め
パンドラの箱をお楽しみに!
不定期更新だけど少しは書き溜めあるよ
sideレイ
「よし!遂に完成した!。私の悲願も遂に叶う!」
「最強の兵器、ネフィリムの完成だ!」
太古の世界に眠っていた最強の兵器、ネフィリム。
それはとある手記から作られていた。
30体も作ったが、生き残ったのはわずか14体である。
だが、収穫は大きい。
四体の変異種は赤子ながらも莫大な力を秘めており、その中の一体は私をずっと見ていた。
― ― ― ― ―
私の前にはしゃいでる若い男がいる。
その後ろには赤ん坊が入ったポッドがあった。
ここはどこだろう?
そう思っていると、男が私に話しかけて来た。
「お前はエンド、エンド・ディア・アンセスターだよ」
なんだか分からないがその名前には聞き覚えがある。
それに、この男だって見たことがあるはずなのだが何も思い出せない。
私はその日から四年、私はその男と話す事が出来るようになった。
その四年間で知った事だが、あいつはレイと言うらしくこの国はアトランティス帝国というらしい。
ある日私はポッドから出され、レイとの初めて会話を果たした。
「お前、誰だ?」
私がそう言うとレイは私を見て、目を見開いた。
それもそのはずだろう。
私以外は物に掴まって立つのがやっとなのに私は自立し、会話をしているのだから。
「君は…」
「私はエンド、お前がそう名付けただろう?」
私は呆れたようにそう言う。
「とりあえず、服を貰えるか?」
こんなただの布で運動など出来るはずが無いのだから何か一つくらいあるだろ。
そう思っていたのだ…が。
「無い…だと?」
「うん、申し訳無い」
「仕方ない…布と針を持ってきたら自分で作るから持ってきてくれ」
私はため息を吐きながらそう言う。
「わかったよ。すぐ持ってくる」
「布と針はあるのか…」
これが私の主、レイとのファーストコンタクトだった。
あまり良い出会いにはならなかったが、これによるメリットもたくさんあった。
4才で、教育を受けていない子供が何故このような知能を持っているのか、それを理由に私はレイから直接指導を施してもらう事となったのだ。
ちなみに私のような存在が生まれた理由は不明らしい。
そして私は自分の部屋を与えられ、2日の時間が経った。
「レイー…私に反復学習は不要だ。だから新しい分野を教えるか訓練に行かせてくれよー…」
私はただの引き算と足し算を答えながらレイにそう言う。
そんな私にレイはため息を吐きながら言った。
「あのねー…まだ教えてから30分しか経ってないんだよ?ていうか足し引きだけだけど八桁を一瞬で計算するってどういう知能してんの?」
レイは頭を掻きながら言った。
確かに30分しか経ってないけども…
でも暇過ぎるのだから仕方ないじゃないか。
内心愚痴をこぼしながら私は計算を解き進めて行った。
まぁ、その退屈も2年で終了したのだがな。
その日から私は歴史や科学、数学。
その他にも何個もの学科を学び、マスターした。
「全く…たった2年で10年分の事を学ぶとはね。君、ほんとになんなんだろうね?」
「お前はそればっかだな…?」
それからは笑ってレイと雑談を楽しむ日々が続いていた。
「…そう言えば6、7年か?。それくらい前に私と一緒に産まれた赤子共はどうなったんだ?」
私はあの時の13…だったか。
13人の赤子の事が気になってレイに訪ねた。
「あー…実は3人が脱走したんだよねー…」
「はぁ!?」
ここから脱走!?
考えても見なかった答えに動揺を隠せない。
「だから見かけたら連れ戻して欲しいんだ」
「はぁ…」
無茶振りするなぁ…
そもそも外に出ないんだがなぁ。
「あと、訓練してきて。残った子らの」
「訓練?」
― ― ― ― ―
その後、私は中央ホールを訪れた。
「ここに居ると聞いたが…どこにも居ないじゃんか…。まぁいい、少し待つか」
私はそう言って柱にもたれてレイから渡された資料を見始めた。
『ナンバース』
ファースト・獣王型の獣人・仲間には優しいが基本野蛮。
セカンド・狼王型の獣人・冷淡だが仲間をよく気にかけている。
サード・精霊術に長けた精霊人・お調子者で冷酷。
フォース・音を操る精霊人・敬語を使い、貴族令嬢のような気品を持つ。
フィフス・螺旋と呼ばれる力を使う魔人・攻撃能力が高く野蛮。
シックス・召喚術を使う魔人・たくさんの幻想生物と仲よさげに話している事が多い。
セブンス・幻想郷という領域で戦う堕天使・優しい。
…ふむ、なんだこの適当な資料は。
そんな事を考えつつ私はそれ以外の6人と私の資料を見ながら時が経つのを待った。
「来たな」
私がそう呟くと扉が開かれてそこから七人の少年少女が現れた。
七人組って事はあいつらがナンバースか?。
私を見つけた先頭の獣人が私を見つけ、こちらに歩いてくる。
「なぁ、あんたは誰だ?」
そいつはそう言ってきた。
猫科の耳を持つ獣人、ということはこいつがファーストか。
ナンバースのリーダーにして優しく、野蛮。
「初めまして、私はエンド。
レイに要請されてお前達の訓練に来た」
「そうか。で、何すればいいんだ?」
そんな事は決まっている、訓練だ。
「訓練だ。とりあえずお前達の実力を見させて貰う。【血界・相反の爪】かかってこい」
私は赤い雫から2つの大鎌を取り出す。
…この血界とは何なんだ?そんな事を疑問に思いながらもそれを握りしめる。
白を中心に青のライン、そして黒を中心に赤のラインを持つ2つの大鎌。
しかもそれは木の枝のように軽くて、とても扱いやすい。
「来ないのか?」
あいつらは全く動かない、まるで時間が止まったようにだ。
まぁ、風も吹いてるみたいだしありえんよな?
私はこのホールの上にある窓から見える雲を見て考える。
「動けないのか?」
「あ…ぐ…」
私が近付くとファーストからかすれた声が聞こえる。
大鎌を血界に直すとファースト達が動き出した。
「あんた一体何したんだよ!俺らが動けねぇってどういう事だよ!?」
「「そうだそうだー」」
そう言うファーストに同調するように黒い天使のような翼を持つ少女と一角金髪の少女が言う。
特徴的にこいつらがセブンスとフィフスなんだろう。
他のは私を警戒していたり怯えたりしているのに神経が図太い奴だ。
「全員、訓練を始める。各自30分後にここに集まれ」
「あ、待て!」
私はそう言って自らの部屋へと戻った。
「ふむ、最初は大型荷物での遠征としようかな」
重い物持たせて走るだけでも筋力は結構付くだろう。
「さて、やるか」
楽しくなるといいな。
これが、私が最も信頼する仲間達の内の7人との最初の出会いだった。