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パンドラの箱  作者: ルシア
第一章・再誕
16/16

14トリガー

sideレイ


荒れ果てている、外見はよくても中身はボロボロだな…

外殻では事件が少ない、それは炎華のおかげだと言われている。

怨鬼団と呼ばれる集団を統べる人物。


そいつらがスラム街を治めていたから事件が少なくなってきたのだ。

怨鬼団の長が居なければ統制の取れたスラム街はすぐ消えるだろう。

十年もしない内に殺人に強盗の絶えないスラムへと戻るはず…


…そして内殻は腐った貴族だらけ、これでは帝国が滅ぶのは時間の問題かな?

どうにかしなければ…


「レイ、渡したい物がある…それと、ちょっとした話をな」


そんな事を考えているとエンドが尋ねてきた。

渡したい物とは、馬車に乗っていた時にエンドが持っていた大きな袋に入っていた物だろう。


「いいよ、入って」

「失礼する」


そう言うとエンドが扉を開けて入ってきた。

失礼するだなんて…

あのクソ生意気だったエンドが成長したねぇ。

天才でも態度が悪かったから、何度悪魔天山に投げ入れてやろうと思ったことか…


「…なんか寒気がするな」

「キノセイジャナイ?それで渡したい物って何?」


少し首を傾げながらも、エンドは袋から物を取り出していった。

最初は少し緑っぽくなっている大きくて厚い皿のような何かの破片。

二つ目は大体僕の肘から指先程の長さがある血塗れの牙だ。


「…これは?」

「ルウ達から聞いてるだろ?その龍の卵の殻と牙だ」


…つまりはこの牙と卵は生まれたての龍とやらの物なのか?

卵…大きくない?


「この二つの品なんだがおかしな性質があったんだよ。見てくれ【火魔法・クリエイトファイア】」


エンドはそう言って生み出した火種を牙に近付けた。

牙にその火種が触れた途端に牙は緑に輝き、風が巻き起こる。


そしてエンドが火種を離すと風は止み、小さな火種だけが残った。


「…このようにこの牙は魔法の属性を変更する効果と、魔法の効果を引き上げる効果があるらしい。そして逆にだ」


殻を引き寄せ、火種に触れさせる。

そしたら殻が一瞬光を放って火種が消えた。


「こちらの殻には魔法を打ち消す…いや、魔力を吸収する効果があるらしい」

「すごいなぁ…これ、エンドが本気で魔法を使ったらどんな感じになるかな?」


エンドの本気の魔法を放ったらどんな威力の魔法が出来るのだろう?

本気の魔法を打ち込んでも全て打ち消せるのだろうか?

そんな事を考えていたらエンドから紙の束を渡された。

それを捲ってみる、どうやら設計図のようだが…


「…何これ?」

「移動する大砲、センシャ。空を飛ぶ鉄塊、セントウキ。小さな大砲、ジュウだ」


訳がわからない、そんな物がなんで…。

移動する大砲なんてアナザー公国くらいでしか見たことが無いし。

鉄が空を飛ぶなんてあり得ない。

大砲が小さいはずも無い、そんなのあるとしたらエルディアの手記程度…


「手記、見つけたの?」


まさか101個目の手記が存在してたのか?

それに動きはするだろうし、エルディアの手記なら役に立つはず…


「手記とはなんの事だ…?これはルウが考えた物の一部だ」


なんだって?

ルウちゃんが作ったのか…?


…でも、見れば見る程動きそうではあるからなぁ…

このコッキングとか言う機構があれば大砲の次弾がすぐ撃てそうだし、このクローラーとか言う車輪は荒地での走行に役立ちそうでもある…

…試すかな。


「…よし、一度作ってみるよ。次の指令を与えるまで訓練とか休憩とかしといてー」


そう言って手を振ると、エンドも手を振り返して部屋を出た。

…さて、ギル君(帝王)に予算申告しますか。


― ― ― ― ―

sideルウ


エンドは龍と戦った。

龍は格上だった。

キトラの時もそうだったが、エンドが格上と戦う時は搦め手(からめて)を使う。


だが、もしもその搦め手(からめて)が通用しない事があったら?


エンドが死んでしまう可能性だって少なくない。

逆に生き残る可能性の方が少ないだろう。

メフィストとユグドラもだ。

少なくともあの龍よりは弱いだろうし、死ぬ可能性も多い。


でも、キトラは別だ。

最悪、狂気ノ血祭壇を使えばいいんだから。

狂ってしまうが、龍には頑張れば勝てるかもしれない…


万が一の保険にはなる、たくさんの人々を殺してしまうかもしれないけれど…

その危険な保険を私はエンド達にも伝えるべきだろうか…と。


今までは悩んでいたのだ。

一万人の命と、エンドの命は釣り合うかどうか。


でも私の心は今回の一件で決まってしまった。

見ず知らずの一万人と、エンドならば私はエンドを選ぶ。


「エンド、話があるの。ユグドラとメフィスト、ついでにキトラも連れて来て欲しい」


部屋に戻ってきたエンドにそう告げ、私はホールへと歩き出した。

第一章、完

間章を少し挟んで第二章に行きますよー

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