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パンドラの箱  作者: ルシア
第一章・再誕
13/16

11再開

sideユグドラ


「それからだなー」


あの男はそれからもずっと話しかけてくれた。

雑談ばかりだが、僕達の警戒を解くためなのだろう。

僕らを王都で匿ってくれるらしいが、本当だろうか?

もしかしたら盗賊で、僕らを奴隷にして売り払おうとしてるのかもしれない。

メフィは美人だし、僕は同年代より力が強いから可能性はある。


一応情報を引き出してから考えよう。


「…あの、貴方は一体何者なんですか?」


これでなにかしら聞き出せるだろう。

名前とか、立場とか、もしかしたらどっちもわかるかもしれない。


「…何者、か。何者だと言えばいいんだろうな?」


どっちもわからなかった。

もしかしたら聞かれたくないのか…?


「ユグドラは多分、名前とかどこに住んでるのか聞きたいんじゃないかって思います」

「あぁ、それなら一応答えられるな」


ナイスだメフィ!

メフィの補助のおかげでなにか聞き出せそうだ。


「多分知ってると思うが、王城の横にある館に住んでいる。名前はエンドだ」

「「え?」」


エンドと名乗った彼の言葉に僕らは驚きの声を上げた。

王城の横にある館、白髪、それに僕らは心当りがある。

王城の横の館と言ったらここら辺には三つしか無いし、白髪なんて言ったらもう一つしか無い。


宰相、バトランド家。

騎士長、ラスク家。

そして、大公爵アンセスター家。

レイド家は研究を担当する家、そこで僕らネフィリムは産まれたのだ。


一度だけ、その館で白髪赤目の人を見た事もある。

そしてエンドと言う名前も知っていた。

一人だけ隔離された、知能がとても長けていたというエンド。

レイドから一度だけ聞いた事もある。


その話が、僕らの逃げる原因になる事になったからよく覚えていた。


「じゃあ、エンドさんって貴族様だったんですねぇ…」

「…いや、貴族と言えば貴族なのか…?」


どっちも気付いていないのかな…?

以外と頭が悪いのかな、レイドのあの話は嘘だったのかもしれない。


「でも、私が貴族ならお前達も貴族になるぞ?お前らもネフィリムなんだから」

「バレてた!?」


ヤバい、声に出てしまった。

誤魔化しようが無いか…?

いや、諦めたらそこで終わりだ。


「えっと…ネフィリムってなんだ…?」

「私らの事じゃん」


メフィストに止めを刺された。

もう終わりだ、そう諦めて頭を抱えて座り込んでしまう。


「逆に、ユグドラとメフィストって名前でわからないはずが無いだろう…」

「ごめんなさい!メフィだけは殺さないでください!」


そう言って謝るとメフィが慌てて、エンドは複雑そうな表情をする。

もしかして両方とも殺そうとしてるんじゃ?


「待て待て、殺す訳無いだろう?落ち着け」

「…え?」


本当か?

そう思っていると、本当だとエンドが言う。

完全に思考が読まれてる。


「…目的はなんなんですか…?」


そう問うと、彼はすぐに口を開いた。

私に話せる範囲だが――

そう前置きを置いて。


私達ネフィリムは、来たる戦争に備えて国を守る盾となる存在であると。

ネフィリムはエンドを筆頭にナンバースと呼ばれる7人とキトラ、それから僕ら二人とそして僕らの聞いた事の無いルウと言う一人の突然変異で産まれた進化人。

進化人とはネフィリムの元であり、ネフィリムはそれの強化改造を行った物だと言う。

進化人がなぜネフィリムとして改造される事になったのか?


それは進化人だけが持つ人間の持たぬ力、魔法のせいらしい。

魔法、人間にはなんの利用すら出来なかった謎の物質を操る力。

進化人は体の中で魔力と呼ばれる物質を生成し、それを操る事で火を起こしたり、水を作り出したり出来るらしい。


そして、アナザー公国が戦争を仕掛けてくる兆しがもう出て来ているようだ。

この調子では後2年もしない内に戦争が起こり、沢山の人々が死ぬと。

だから、それまでに力を付けてこの帝国を護らなければならない。


「…現状ではこの程度しか話せる事は無いな」


そう言ってエンドは口を閉じた。

僕とメフィストを見定めているのだろう。

僕らがなんと言うか、それを見ているようだ。


メフィストを見ると、彼女はこちらを見つめていた。

…答えは決まった、何をするかは決まった、後はそれを伝えるだけだ。


「…わかりました」


メフィストを守る。

死なせはしない、そして全てが終わったら二人で――




「僕達をそこへ連れて行ってください」

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