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暖かい島で見た星々の思い出

作者: 鈴木美脳
掲載日:2019/12/15

 だいぶ昔のことになるが、ある島に降り立ったことがある。

 そこは小さな神々が暮らす島だった。


 それまでにもいくつもの島に降りたはずだが、記憶にはない。

 私はその島において初めて、私という意識を得たのだ。

 そこで喜びを知ったとき、私という自我は生まれた。


 彼らは柔らかい肉体を持ち、その命は有限だ。

 だがしばしばつがいを作って、子をなすのだ。

 父と母は子に愛をそそぎ、子はまたその子へ愛をそそぐ。

 その輪に浴して初めて、私は笑った。

 彼らを義理の父母にしようと私は決めた。


 彼ら一人一人は不完全で、集めてもやはり不完全だ。

 どの場を選び取ってもそこはやはり完全ではない。

 しかし彼らが合理主義者でないところに魂はあって。

 小さな神々からは常にいくらかの愛があふれ出ていた。


 私は昔、人倫交際を離れて事実と価値があると思った。

 でも良い人に多く会うほど、人倫交際こそが価値のすべてだと感じた。

 不完全な神々。彼らの笑顔こそが私が存在する価値のすべてで。

 私が生きてその島に残せる価値のすべてでもあった。


 私は昔、内気だが純粋な人が自分に似ていて好きだった。

 しかしやはり、社交する知性こそが良心の源だと思い知った。

 知性は社交性も含めて健全にバランスしているべきであり。

 そうであってこそ高い完全へと接近していくべきだろう。

 そう自らも定義して、だいぶ昔に私は生まれた。


 かつて苦しみのみ注がれたときには、せいぜい憎しみしか感じなかった。

 人々の間で笑い合う日々を通して、やっと人々の幸せを望むようになった。

 だからだろう。私はその島の人々を今もなお愛してる。


 でも誰もを等しく愛しているとは言うべきではないだろう。

 私が愛しているのは人々に備わった健全な意味での知性であり。

 彼らの愛情という神々としての属性にほかならない。

 真に健全な知性とは、宇宙という暗い空に咲き誇る花々であり。

 それがまく香りを愛と呼ぶにすぎない。

 完全な慈悲の姿なき匂いだけが、そこからほのかに香ってただよう。


 それは本当に小さな島であって、さほど多くの人が暮らすのではない。

 高々そう、百億が生きる星であったか。

 それは小さな神々が暮らす星で。

 彼らこそほかならぬ私の父母その人である。

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