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犯人と謎

魔獣を狂暴化させた犯人らしき人物の接触はなく、そのまま公演日初日を迎えた。まばらに散らばる客席だが、間違いなく今この場に犯人はいる。サラとレクスは客席から不審な動きをしている人がいないかを監視。アッシュもドローンを飛ばして常に客席を監視している。


『みなさま大変お待たせしました!これよりサーカスの開演です!』


団長マルクの合図で団員と魔獣の曲芸が始まった。アッシュもゴーレムとして曲芸に参加し、次々と成功させていく。まばらな観客席から拍手と歓声が起こるが、不審な動きをみせる人間はまだいない。


『さぁ皆様お待ちかね!我がサーカス団の目玉曲芸スーパー火の輪くぐり!やってくれるのはもちろんレオンです!皆さま拍手でお出迎えください!』


観客席から拍手とコールがかかり、スタンバイしていたレオンが勢い良く飛び出し、咆哮をあげる。


『今日はいつもと違った凄い芸を見せてくれるぞ!ゴーレムのアッシュ!』


アッシュもマルクの合図で飛び出す。


『火の輪が並べられた2mもの距離を軽々とジャンプするレオンですが、なんと今回はジャンプしている途中に輪を投げてその中を跳んでもらいます!タイミングを間違えたらレオンは火だるまに!果たして成功するのでしょうか!?』


レオンの前に設置された一枚の火がついた輪。その中を跳んだ瞬間にアッシュがタイミングを合わせて輪っかを投げ、レオンが潜るという芸。ドラムロールが鳴り響き、タンバリンの音が鳴った瞬間、レオンは助走をつけてジャンプし、中を潜る。アッシュは脚部をローラーにチェンジ、レオンに合わせて次々と火のついた輪っかを次々と投げていく。正確に投げられた輪っかをレオンは一度も着地せずに全てくぐり抜け、成功した瞬間にこの日一番の歓声が湧いた。


客席から観ていたサラとレクス。不審な動きをする人間はいないが、一人目ぼしい姿をした者を見つける。黒のローブで顔まで隠しており、微動だにせずただサーカスを見続けている。


「まだ動きそうにないわね」


「だが必ず動きはあるはず」


今日の公演も終わりを迎える。出演したメンバー全員が集合し、中央ではマルクが観客席に向かって挨拶をし始める。


『それでは皆様!またどこかでお会いしましょー!さようならー!!』


その瞬間、テントの中に明かりを灯していた火が消え、暗くなる。


「まずい!」


「フラッシュ!」


サラの杖が放たれた閃光は会場に再び明かりが広がる。レオンの前にアッシュが立ち塞がり、その鋼鉄のボディで針を弾く。黒のローブを着た者は手に持っていた吹き矢の筒を捨て、その場から逃走を図る。


「逃げた!」


「俺が行く!」


レクスは猛ダッシュで一気に距離を詰め、不審人物を取り押さえる。ローブの下に隠れていたのは男だった。


「は、はなせぇ!」


「お前が今度の事件の犯人か?個人の犯行か?組織の犯行か?目的はなんだ?」


「この世界はもうすぐ終わりを迎える・・・」


「なに?」


「デウスエクスマキナ様がこの世界を統べるのだ。今回はほんの挨拶だ。なぁ?勇者レクスと魔術師サラよ」


「そいつは何者だ!答えろ!」


「くっぅ!?アガガガガガビァガ!?!」


突然苦しみ出す男。まるで呪いにかかったかのようである。しばらくもがき苦しんだ男は絶命。死亡してしまうのだった。後から追ってきたサラとアッシュ。レクスは首を横に振り、男が死んだ事を伝えた。


「何があったの?」


「どうやら、また俺たちパーティが集まる日は近いようだな」


「それってつまり、新しい脅威が現れたってことね」


「あぁ。それも、魔族とは違う何かだ」


その日の夜。これ以上の公演は危険と判断し、マリア町でのサーカスは中止という命令が町長から出る。男から聞き出した情報はまだ公表しておらず、知っているのはレクス、サラ、アッシュだけ。既に撤収作業が進められており、テントはどんどん解体されていく。


「すまない団長。俺がもっとしっかりしてれば」


「いえいえ!皆さまがお力添えしてくれたお陰で、我々の無実は証明されました!なんと感謝すればよいやら」


「これからどうされるんですか?」


「次の公演先は決まってますので、少し早いですが向かおうと思います」


「また皆さんのサーカスが観れる日を楽しみにしてますね!」


「ええもちろん!」


サラとレクスはマルクと握手を交わす。レクスは周りを見渡すが、アッシュの姿が見えない。


「そういえばアッシュはどこにいるんだ?」


「レオンのところよ。気に入られちゃったみたいね」


レオンに気に入られたアッシュは中々解放されず、遊び相手になっていた。


「しかし、アッシュは素晴らしいゴーレムですね。出来る事なら、我々の一員となって世界を巡って貰いたいものです」


「それは・・・そうですね。きっとこの旅が終わったら、アッシュは自分で生き方を決めると思います。だから、それまでは」


「もちろんですとも。おふたりの旅が良きものになることをお祈りしております」


「ありがとうございます」


マルク達サーカス団と別れた後、三人は一度レクスが経営する鑑定屋に戻った。今後必ず剣を交えるであろう未知の脅威への対策を練るために。


「デウスエクスマキナ・・・」


【機械仕掛けの神と呼ばれる存在だが、この世界には実在しているのか?】


「いや、そんなやつは聞いた事もねぇな。俺やサラを含めた仲間の四人で大魔王率いる魔族と戦ったが、デウスエクスマキナなんて言う名前の魔物はいなかったはずだ」


「とにかく、このままだと世界に再び混沌が来るわね。王都や帝都に知らせて準備をした方が良さそう」


「そうだな。俺はまたあいつらを探しに行く」


「だったら、私たちも同行した方がいいかしら?」


「いや、サラ達はこのまま旅を続けろ。その道中にあいつらに出会う事があればマリア町に来るように伝えてくれ」


「わかったわ。アッシュ、あなたはどうする?」


【ワタシのマスターはサラ、君だ。君の行く先がワタシの行き先となる。君が世界を救うというのであればワタシが君を守ろう】


「あらやだときめいた」


「なら決まりだ。俺は一度セルディの村に向かう」


「なら、私達はまず帝都ゼーガルドに向かえばいいわね」


「出発は明日だ。守るぞ、世界を」


今回の一連の事件はまだ解決していない。いまだ残る謎と共に、サラ達は眠りにつく。


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