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209話 エストローデ vs アベル&カシアス(2)

  カシアスから提案された融合(シンクロ)

  そして、あいつから供給された膨大な魔力。



  おれの身体が破裂しそうになり、おれの中で何かが砕け散る。



  『さぁ、反撃といきましょうか……』



  カシアスのそのひと言が、おれの魂に響くのであった。




  ◇◇◇




  「なんだ……。急にどうした?」



  目の前にいるエストローデが驚いたような表情でおれを見つめる。


  それもそのはずだろう。

  あまりの変貌っぷりに、おれ自身も驚いている状態なのだ。


  急に覚醒したおれに対し、戸惑うのは仕方ないことだろう。


  先ほどまでおれの中で暴走していた魔力は完全に収まり、おれの身体はとても安定している。

  ただ、今までのおれとは比較にならないほどの魔力が身体中に満ちていた。


  まるで、人間を超越した何かに生まれ変わってしまったようだ。



  『カシアス、これはどういうことだ? お前はいったい、おれに何をしたんだ……?』



  おれは念話でカシアスに尋ねる。


  本当は、目の前の敵に集中した方がいいはずだ。

  エストローデは十傑の中でも2番目に強い悪魔。

  油断していい相手ではない。


  だが、今のおれならエストローデに何をされようが対応できる。

  そんな不思議が感覚が宿っていたのだった。



  『私はただ、かつての貴方からお借りしていた魔力をお返しただけです。これは貴方様の本来の力なのですよ』



  おれはカシアスの言葉に納得する。


  なるほど。

  つまり、カシアスは魔王ヴェルデバランの魔力をおれにくれたってことか。


  流石、魔王様の魔力といったところだ。

  そりゃ、おれの力もこんだけ上がるってわけだな。


  今までならできなかったようなことさえ、今のおれならできる気がしてくる。



  そして、エストローデはそんな変貌を遂げたおれを見て、喜びの声をあげるのであった。



  「そうか、これがあの方が話していたお前の本来あるべき姿……」



  「おもしろい!! おれはそんなお前を倒し、いずれはユリウス様をも超えてみせようではないか!!」



  興奮するエストローデ。


  そして、おれの……。

  いや、おれたちの反撃がはじまるのであった。



  エストローデが放つ風属性魔法。

  音速をゆうに超える真空波をおれは片手で受け流す。


  防御魔法を応用し、森林があった方へとエストローデの魔法を弾くのであった。



  すごい……。

  こんなこともできるのか?

  さっきまでなら全力を出しても歯が立たなかっただろうに——。


  おれは自分が手に入れた力に驚きつつも、冷静に局面に対応していく。



  それを見たエストローデはどうやら手を抜くのをやめたようで、段々と魔法の威力を上げてゆく。



  そして、先程エストローデが10倍と言っていたおれが反応すらできなかった魔法を放つのであった。



  「これならどうだ!!」



  だが、そんな魔法も今のおれにとってはまったく怖くはない。


  まるで、時間が止まったように魔法発動の瞬間も捉えられ、防御魔法を発動する余裕も生まれる。



  「闇の壁(ダークウォール)!!!!」



  そして、おれはエストローデの魔法を完全に防ぎ切るのであった。



  「ほぅ……」



  エストローデは攻撃を防がれた事に嫌悪感を示す。


  それから、怒涛の魔法連打でおれを攻めたてるのであった。



  「アベル! どうした!? 守ってばかりじゃ、いつまで経っても勝てないぜ!!」



  だが、そんな攻撃たちもおれとカシアスの前には効かない。


  カシアスから供給される魔力。

  これがある限り、おれは負ける気がしない!



  先ほどまでとはうってかわり、エストローデの方がおれに一つも攻撃を与えられずに戦いは進んでゆく。


  そこで、おれは魔法を放つエストローデの隙を見つけ、距離を詰めて襲い掛かるのであった。



  「そういう言葉は、おれに傷をつけてから言うんだな!」



  転移魔法を使うまでもなく、宙をひと蹴りしただけでおれとエストローデの距離はゼロになる。


  そこでおれは魔剣に魔力を込めて、やつを切り裂くのであった。



  「ぐわぁぁぁぁあ!!!!」



  おれは初めてエストローデにダメージを与える。


  先ほどは片手で塞がれた魔剣での一撃。

  しかし、今回はしっかりと手応えがある。



  「クソォ!」



  エストローデが周囲に暴風を呼び起こす。


  おれはそれに巻き込まれないようにと距離を取るのであった。



  「クックックッ……最高だ。やっぱり、強いやつと戦うのは最高だな」



  一人、ケラケラと笑いながらつぶやくエストローデ。


  やはり、あいつはどこかおかしい。

  おれには理解できない領域にいるようだ。



  「いいだろう。おれも本気を出すとするか」



  そう言って、エストローデは魔剣を取り出すのであった。



  魔剣を使うということは一点集中に魔力を集め、解き放つということ。

  おそらく、もうすぐ戦いの行方は決まる。



  おれも身体は安定こそしているが、今まで使ったことのない魔力量にいつ限界を迎えてしまうかわからない。


  こちらとしても、そろそろ勝負を決めた方がいいのだろう。



  「さぁ、最終局面といこうじゃないか……」



  「いいだろう。おれも、負けるわけにはいかない!」




  そして、エストローデとの戦いは最終局面へと向かうのであった。

どうも、作者です。


今回は本文がいつもより短くなってしまったのでプチ情報を書いておこうと思います。


カシアスの手によって覚醒状態になっているアベルですが、想像以上に強くなっておりエストローデに対抗できていますね。

もちろん、これはアベル単体の力ではなくカシアスから魔力供給を受けているからこその実力です。


ちなみに、今のアベルの強さが七英雄で最強といわれているニーアやカタリーナと同じくらいの力です!


そして、エストローデは十傑の一人であり、十傑は魔王クラスの実力を持っています。

これによって、人間界を救った七英雄たちがどれくらいバケモノだったかよくわかるのではないでしょうか。


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