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13話 家族紹介

  おれの名前は湊蓮(みなとれん)

  普通の高校生だ。


  いや、違った。

  おれの名前はアベル=ローレン。

  普通ではない5歳児だ。


  地球で不幸な運命を背負い17年も生き抜いたおれは、やっと人生という苦行から解放されたと思ったら、地球とは似て異なる星でまた一から人生をやり直さなければならなくなった。


  しかし、魔法が飛び交うこの異世界では前世とは違い幸せに満ち溢れた日々を送っていた。


  まぁ、なぜか人間には使えない魔法が使えたり、神話に出てくる魔王が持つようなスキルを持っていたり、わがままでツンデレな美少女の姉がいたりと苦労は多々あるのだ。


  ん……?

  最後のはご褒美じゃないかって?


  おれはそういう属性は持っていないし、姉とはいえ彼女の年齢は一桁なのだ。

  おれはロリコンじゃない!

  これは正真正銘苦労なのだ。


  おっと、これ以上語るのはやめておこう。


  そんな幸せながらも苦労が絶えないおれにとって、この世界で一番大好きなおれの家族について今回は紹介しようと思う。



  まずはセアラ=ローレン。

  おれの2歳年上のお姉ちゃんだ。


  藍色の髪の毛は短く整えてある短髪な元気っ子。

  顔は可愛らしく外見はパーフェクトだと思う。

  ただ性格が少し攻撃的な所があるのが問題なんだよな。


  彼女はおれを含め家族のことが大好きだ。

  これから紹介する父さんと母さんのことはそれぞれパパ、ママといまだに呼んでおり、べったりと懐いている。


  そうなのだ、両親にはべったりなのにおれにはその真逆で攻撃的なのだ。

  まぁ、愛されていることはわかっているのでおれも嫌ではないが、殺傷性のある魔法を平気でポンポンおれに向かって打ってくるのはやめてほしい。


  この世界にはスキルというものが存在する。

  これは武術や魔術に関する才能のようなものらしい。


  このスキルは人々の人生に大きな影響を与えるものらしく生まれたときには既に決まっているらしい。

  つまり、生れた瞬間から人生の可能性がある程度は決まっているってことさ。

  前世よりもシビアな世界だぜ。


  そして、サラはこのスキルで人生の勝ち組の中の勝ち組らしい。

  普通の人はスキルを1つ、選ばれし者たちが2つを持つ中でサラはスキルを3つ持っているらしい。

  これは、人口の1%にも満たないすごい確率なのだ。


  しかし、それでも100人に1人は存在するんだろうと思うかもしれないが実はスキルには当たりのスキルと外れのスキルがあるらしい。

  そして、サラは3つのスキルの全て魔法使いとしては当たりらしいのだ。


  だからこそ既に父さんも母さんもサラに期待しているところがあるしサラもその期待に答えようとしている。


  前世のおれならば自分の現実と比較してしまい妬んでいただろうが今のおれは違う。

  精一杯努力している彼女を応援している。


  今のところおれの方が強いがおれよりも強くなって欲しいと願っている。

  そうすればいつかおれが……。


  おっと少しネガティブなことを考えてしまった。


 

  次は、カイル=ローレン。

  おれの父さんだ。


  最近聞いたのだが年齢は28歳らしい。

  髪の色は紫色で髪の毛はサラサラとしていて男性にしては少し長いかもしれないが気にならない程度だ。

  髪型はおかっぱのようなにしており前髪は少しぱっつんとしている。


  あと、カイル父さんは眼鏡をかけていてとても知的に見える。

  まあ、実際に本当に知的なんだけれどね。

  学術的なことから魔術的なことまで色々と詳しいんだ。


  職業はこの村の副村長として村人たちと相談していたり、この村の護衛として魔法使いをやっている。

  父さんはこの村でとても尊敬されているし慕われている。


  おれは前世を合わせてもここまで人間ができている人を知らない。

  魔法使いとしても魔法学者としても一流の実力を持ちながら威張らずに腰が低く誰に対しても優しく接してくれる。

  村の人たちだけでなく家族からも愛されている人なのだ。


  ちなみにカイル父さんはおれにとっても甘い。

  サラに対しても甘いように感じるがおれに対してはもっと甘いのだ。


  基本的におれの自由にさせてくれるしおれのやることを褒めてくれる。

  サラには年齢にそぐわない危険なことは基本させないがおれが父さんに頼めば何だかんだされてくれる。

  いい意味で信頼されているのかもしれない。


  5歳になったおれに魔法の訓練をしてくれるのもそうだ。

  普通は魔法は危ないから12歳から学校に通いながら始めるらしい。

  しかし、サラにしてもおれにしてもカイル父さんにやりたいと頼めば許してくれた。


  ちなみにカイル父さんは訓練ではそれほど甘くはない。

  おれらの身体が限界にならないようにセーブはしてくれているがそれでも遊び感覚ではやっていけない。

  普通に終わった後はヘトヘトになってしまう。

  カイル父さんとの訓練についてはまた今度書くとしよう。



  最後は、ハンナ=ローレン。

  おれとサラの母さんでありカイルの妻だ。


  年齢は教えてもらえなかったが父さんよりちょっと下らしい。

  ハンナ母さんは一言でいえば美人だ。

  まさにこれに尽きる。


  整った顔に流れるようになびく藍色の髪の毛に絶妙なプロポーション。

  まさに、アニメや漫画に出てくるヒロインそのものだと思う。


  見た目は清楚系のお嬢さまがそのまま結婚して母になったように見えるが中身はそんなことはない。

  とても、気さくな人だし家事はよくできる。

  それに冗談でサラをよくからかっている姿は、いたずらっ子のような無邪気さもある。


  職業はこの村で医者をやっていて月に数回は家から少し離れた小さな診療所に行って働いている。

  ハンナ母さん以外の医者も働いているため魔法を使う必要があるときなどに呼ばれるらしい。

  一応は専業主婦らしいので家にいるときは基本的に家事をしている。


  おれに対してはベルちゃんと呼んでくれており、いつもとても可愛がってもらっている。

  ちなみにそれを見たサラが嫉妬をしてハンナ母さんをおれから奪い取るというのがいつもの流れなのだ。


  こんな感じでおれはこの世界に転生して、苦労も多いが温かな家族に囲まれ幸せな日々を過ごしている。

  人と触れ合うことがこれほど幸せだということをおれは知らなかった……いや、忘れていたのだ。


  おれはサラもカイル父さんもハンナ母さんもみんな大好きだ。

  これからも家族全員で幸せな毎日を送っていくことを願っているよ。

ご愛読ありがとうございます。

この家族紹介は時系列でいうと17話と18話の間なのでもう少し後になります。

キャラに対するイメージや愛着を持ってもらうために敢えてここに話を挿れました。

また、あらすじに書いてあるシリアスな展開は19話からなのでそれまでは割とほのぼの進んでいきます。

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