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君と僕の遺書
君の汗と蝉の声が暑く感じる。
もうすぐ夏休みだ。
僕らは夏休みを前に、遺書を書いている。
遺書には、君のことを書くことにした。
君の髪を切った事、君の笑顔が可愛いこと、学校をサボって、君と過ごした日々の事、そして君が好きな事。君と死ぬこと。
最後に僕の名前を書いた。
僕は自分の名前が好きではない。君に僕の名前を言ったことも無かった。
きっとこれは、君の知らない名前だ。
死ぬ前にと、お互いの遺書を読みあった。
そこには君の細い、綺麗な文字で『晴海』君の名前が書かれていた。
僕は君の名前を、大事に胸にしまった。
踏切へと向った。手を繋いで、君と一緒に終わりを迎える。
踏切の音が鳴る。遮断機が下がった。
君は僕の肩を軽く叩いて、笑って言った。
「私も、夏帆の事好きだよ」
「僕の名前…」
君がはにかむ。僕は僕の名前が好きになった。
「晴海」
僕は最後にそれだけ呟いて、繋いだ手をかたくした。
踏切の音が遠ざかり、セミの声が耳を塞いだ。
近く置かれたままの鞄の中に君と僕の遺書はしまわれている。
セーラー服のリボンを解いて、遺書が入った鞄へしまった。
私の名前は晴海 夏帆。中学二年生だ。
もうすぐ、夏休みが始まる。
古瀬
ありがとうございました<(_ _)>




