夏のはじまり
―――僕は転校初日、同じクラスのたまたま隣の席に座っていた君に一目惚れをした。
中学二年の夏、僕は今の学校へ転校をした。
隣の席の君は長い髪を耳にかける。君の汗と蝉の声がとても暑く感じる。
あっという間に一日が過ぎていった。
転校して1週間ほど経った頃、僕への興味も薄れ話しかけられることがほとんど無くなった。
ある朝教室のドアを開けると、流れる不穏な空気を感じ取る。
隣の席の君が俯いて立ち尽くしていた。
君の席へそっと近づいて覗いてみると、そこには花瓶に枯れた花が飾られていた。
いじめだ。僕は瞬時にそう理解した。その日はただ、見ていることしか出来なかった。
日を重ねるごとに君へのいじめはエスカレートして行く。
教師も誰も、知らないふり、見て見ぬふりをした。そんなある日、君に不幸が訪れた。
君が学校を休んだ。両親が亡くなったそうだ。
それは不幸な事故で、横断歩道の青信号を渡っていた所に、飛び出してきた車が突っ込んだらしい。即死だった。
学校の帰り道、僕は河原へ寄り道をすると橋の下で君が川を眺めていた。
僕は近寄りそっと話しかけた。
「やぁ、偶然だね。」
君は驚いた様な顔で僕を見る。
「隣に座ってもいいかな?」
そう言うと君は小さく頷いた。
君は酷く弱った様子で、僕はきっとそれを利用した。
「君は学校が好き?」
そう尋ねると、少し考えて君は言う。
「学校は好きでも嫌いでもないけれど、少なくとも私は、今のクラスは多分、好きにはなれない。」
そうか、と一息つく。少し間を置いて、
「僕と友達にならない?」
僕がそう言うと
「そういうのは言ってなるものじゃないと思うけど。」
そう言いながらも諾してくれた。




