死体は語る
3月15日 5:32 、中村は考えていた。
犯人の残したメッセージをどうやって解読できるのだろうか、と。
「2」
声に出してみても、意味がわからない。
何か暗号を解読する方法はないのだろうか?
中村は捜査記録をまた1から見直した。
しかし、とくに引っかかるものはない。
中村は思った。
何か見つけてない物があるのではないか、と。
何か欠けているものはないか?と。
これまでの捜査は住民からの聞き取りがほとんどである。
そうなると、今ある手がかりのうち調べきれていない物があるとしたら、、、
中村は検死記録を手にして走り出した。
…………
「酒井さん、すみません。また同じ遺体を検査してくれませんか?きっとまだこの死体はあなたに語りかけています。ご遺体の声を聞いてあげてはくれませんか?」
中村は検死官である酒井幸助の元に来て言った。
……………
3月15日 6:24
酒井は遺体を検査した。
心臓の刺し傷と口の中に記された「2」以外にこれといって外傷は見当たらない。
ということは今探すものは外傷ではないということなのだろうか?
酒井は遺体をMRIにかけてみることにした。
そして数分がたち、遺体の全体図が判明した。
「ん?なんだこれは?」
酒井は遺体に不思議な影が写っていることに気がついた。
喉の奥だ。
酒井は遺体の口を切って開かせ、ピンセットを喉の奥に突っ込んだ。
するとなにやらカプセルのような物が出てきた。
「君はこれのことを私達に知らせていたんだね。ありがとう。安心して眠りなさい」
酒井は遺体を保管室に戻して中村のもとに向かった。
…………
廊下をかける音が聞こえて酒井が姿を現した。
そして中村を見るなりすぐにこう言った
「中村さん、見つかりました。あなたの直感、あたってましたよ」
そして、中村に一枚の紙を手渡した。
「証拠品申請を済ませてきました。再検査をしたところ被害者は喉の奥にカプセルを詰められていましたよ。そしてカプセルの中身を確認したところ、中から一枚の紙が見つかりました」
紙を確認すると、検査項目と新たに見つかった証拠品の詳細が記されていた。
証拠品は紙であり、文字が書かれている。
紙には
「斉藤」
と書かれている。
「2」「斉藤」
これはいったい何を示しているのだろうか?
中村は思考する。
すると タララララン、タラララランと場違いな音楽が流れだした。
中村の携帯だ。
「はい、こちら中村」
「中村さん、やばいですよ。また新たな死体が見つかりました」
部下の永野からの電話だった。
「中村さん、今度の死体にもまた文字がついているんです」
中村は間に合わなかった。犯人からのメッセージが警察に届けられてしまったのだ。
中村の脳裏にあの「相談屋」の顔が浮かんだ。
中村は震える声で聞いた。中村は怒りに震えていた。
「なんと書かれている?」
…………
「額にナイフで"a"と書かれています」
謎解きをしたい方はここまでで考えてみてください。
謎の内容は暴力団の死体に書かれた「2」の意味。
ヒントは2体目の遺体の「a」