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語り部

こちらは犯人である荻原だ。自身の死を悟り、お前に真実を託す。




 まずこの事件を語るには30年前のことを語らなくてはならない。


 俺は30年前、小泉と斉藤とともに、暴力団の抗争を担当したことになっているはずだ。

 しかし、実際は少し異なる。


 あれは抗争ではなく、ある企みを知る人物の抹殺だったんだ。


 かつての警察は、裏で暴力団と手を組み、大麻の取引を行い、資金を作っていた。


 警察関係者は俺を含めて3人いた。

 小泉、俺、斉藤の3人だ。


 俺たちはあの日、暴力団達が契約内容にない行動をとっていると知り、奴らのアジトに向かった。


 アジトに入ると、たれこみ通り、奴らは契約を反故にしていた。明らかな裏切りだ。


 俺達は民間人に大麻を売らない約束で大麻を売り渡していたのに、そこには大量の民間人が薬付けにされていたんだ。


 大麻中毒にされた人々は暴力団に言われるままに奴隷のように働かされていた。


 俺達の中にも、どうやら正義感は残っていたらしく、仲間の斉藤が奴らに向かっていった。


 斉藤は1人、2人と撃ち殺したが最後には敵に撃ち返されて死んじまった、、、。


 俺たちは追い詰められた。


 しかし、そこで事態が一変した。


 当時、下っ端だった西田と東郷が俺たちを囲む暴力団達を背後から全員撃ち殺したんだ。


 あっという間にけりはついた。

 奴らは仲間に殺されるなんて考えていなかったんだろう。


 そして俺と小泉に向かって言った。

 取引をしよう、とな。


 奴らは事件の真相を隠せば俺たちを生かしてくれると言ってきた。


 そうして俺は生き残った。

 これが30年前の真相だ。



 時はたち、俺は副署長にまで上り詰めた。

 その過程で汚いことはいくつもやった。


 そして俺は裏切りを知った。


 あの時、俺が生き残っていたのは偶然とは言えないことがわかってきたんだ。


 あの日より前に小泉は西田と東郷と組んでいたんだ。

 しかもそれだけじゃない。


 小泉は暴力団に民間人を大麻漬けにするように言っていたことが分かった。


 全ての元凶は小泉だったんだ。


 俺は奴を許せない。


 だから奴に促すことにした。


 事件の真相を明るみに出せ、と。


 メッセージを送って知らせたんだ。

 俺は田中を殺してメッセージを小泉に送った。


「暴力団の死体」「Q」「斉藤」


 これで奴に伝わると思った。

 しかし、俺のメッセージは届かなかった。


 まさか誰もがQを2だと思って、しかも「斉藤」が見つからないなんてな。


 焦ったよ。

「斉藤」はお前がみつけてくれたんだったな。

 ありがとう。


 だけどお前は発見するのが少し遅かったよ。



 俺はみんなに事件のヒントを出すことにした。


 あのaのことだ。




 aを見て小泉はようやく俺のメッセージに気づいたよ。


 俺はその後、奴を酒にさそそった。

 奴は30年前のことを間違えて覚えていたよ。


 俺を仲間と思っていやがった。


 ここで奴の音声を入れておく。

 本当にバカな奴だ。


 …………



「小泉、あれを見たか?」


「ああ、あれか」


「何者かが30年前の警察と暴力団との大麻取り引きに気がついたかもしれない!」


「まて、焦るな。また、前みたいに情報を知った人間は消してしまえばいい。斉藤みたいにな。そうだろ?荻原?」


 ……………


 バカな奴だよ。


 でもあいつは恐ろしいやつだ。

 悪魔が心に巣食っていやがる。


 俺は身の危険をかんじたよ。


 きっと俺は死ぬだろう。


 悪いな中村、後のことは頼んだぜ。




実は第1話で次郎に名乗った身分は「警察」だったんです。


……

30年前に消された人物は斉藤、その他の暴力団員です。警察との取引を知っていた人物が次々と死んでいったのです。


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