コンビはまた集まって
3月17日 13:00、昼飯をすませ、中村は影山の事務所を訪ねた。
ピーんポーン
「はい、今行きます」
ガチャ
「影山、相談料を払いに来た。世話になったな」
中村が今日ここに来たのは依頼料を払うためだった。
しかし、依頼料を受けるはずの影山の表情がうかない。
「中村さん、私はまだ料金を受け取ることはできません」
中村にとって、この返事は意外なものだった。
「どうしてだ?」
「私はこの事件が終わったとは思っていないからです。私は相談屋として、依頼を完遂するまでは料金を受け取ることはできません!」
事件の解明を頼んだ覚えはないのだが、どうやら影山の中では今回は事件の真相解明をもって相談終了とするらしい。
「わかった。わかった。それで何を聞きたい?」
中村は影山の質問を受けることにした。
「はい、まず気になるのはどうして3番目の被害者が出たのか?ということです。犯人はメッセージもヒントも出し終えたのだからわざわざ殺人を犯す必要はないですよね?」
「そんなこと、犯人にきけよ。きっとメッセージを送っていた相手は荻原さんで、のこのこ出てきた荻原さんを殺したんじゃないか?怨みとかそういう理由で」
「そうかもしれないけど、やっぱり不自然でしょう?」
「、、、、、、。」
「そしてもうひとつ。もしかして3番目の死体にも何か文字がありませんでしたか?」
あの遺体には「3」という文字が刻まれていた。
「たしかに文字があった。3と書いてあったはずだ。
実はそれについては俺も違和感を感じたんだ。3つ目の死体には犯人のメッセージが感じられないんだよ」
「3つ目はメッセージを持たない死体ですか」
「少なくとも俺にはそう思えた」
「なるほど。そうなると3つ目の遺体は1つ目、2つ目の遺体を作った犯人とは別人ということは考えられないかしら?」
「まさか、、、だって、そんなわけが、、、。いや、やっぱりありうるかもしれない。1つ目、2つ目の遺体は犯人の手がかりがなかなか見つからなかったのに対し、3つ目の遺体は証拠がありすぎた」
「3つ目はやけにお喋りな遺体だったのね?わざわざ殺人の指紋を残してくれるほどに」
「まさか、あれは別の犯人によって作られた証拠なのか?」
中村はひどく驚いて席から立ち上がった。
「あくまで可能性の話しだけれど、とても無視していいものじゃあないわね」
「誰か事件の真相を捻じ曲げた人物がいる」
…………
「しかも、その人物はおそらく警察内部にいる。あれほどの事件が3人目の被害者から見つかった証拠だけで解決に向かおうとしているんだもの。きっと警察上層部にいる誰かが事件の収拾を図っているはずよ」
読者の方は犯人は誰か考えてみてください。
断定は出来ないかもしれませんが、怪しい人物は見つかるはずです。(実はもう犯人は明かしちゃってますが)
次回は登場人物をまとめます。参考にしてください。




