偽りの終幕
3月15日 15:30、捜査本部に事件に関わる全ての捜査員が集められた。
カツ、カツ
加藤署長が壇上にあがり、そして言う。
「今回の連続殺人事件、犯人が判明した。暴力団のトップである西田敏夫、東郷正和。こいつらを犯人と断定し、明日3月16日 10:00に被疑者確保に向かう!万が一の場合にそなえ、特殊部隊のメンバーを配置する」
「3人目の被害者である荻原副署長が、奴らの指紋を残してくれたおかげで、私達はようやくこの事件を解決することができる。稀に見るスピード解決だ。諸君!!荻原副署長に黙とう」
捜査員達は涙を流しながらじっと壇上に向けて黙とうをした。
これでようやく、事件の幕が降りる。
…………
3月16日 10:00、我々警察は西田組と東郷組の暴力団アジトに正面から突入した。同時刻に2つとも突入した。
インターホンをならし、出てきた暴力団員に令状を見せてアジトに入ったのだ。
「あぁ!なんだテメエら、許可なく入ってんじゃねえよ」
明らかにチンピラというような奴が怒鳴ってくる。
「警察だ。観念しろ!」
私達も負けじと怒鳴り返して西田と東郷を探した。
いた、東郷だ。
中村は東郷を確保した。
「3月16日 10:16 、被疑者確保!」
同じ頃、西田組アジトにて、西田敏行が確保された。
ありがとう、副署長。
我々は犯人を捕まえたぞ!!
……………
チャンチャラランラン、チャンチャラチャララララン!
「こんにちは、今日も沢山のニュースが入って来ています。ラインナップはこちら」
タララララン
3月16日、18:00
夕方のニュースが始まった。
トップニュースとして、今日警察が容疑者を確保したことが報じられている。
現場とは違う、賑やかさがそこにはあった。
「まずは速報です。今日、10:15頃、愛知数字殺人の容疑者が警察によって確保されました。殺害されたのは田中次郎さん37歳無職、齋藤和樹さん50歳サラリーマン、荻原悟さん60歳警察の3名で、3件目に残されていた指紋から容疑者が特定されたようです」
「容疑者は暴力団の西田組のトップ、西田敏夫、暴力団の東郷組のトップ、東郷正和であり、警察は今後2名から聞き取りを行い、事件の真相解明につとめるそうです」
「今回はコメンテーターに教育評論家の清見豊さんに来ていただいております。清見さん、どうですかこの事件!」
「いやー、なんだかねー、、、、
……………
「嫌ねー。こんな近くで殺人事件だなんて」
テレビを見ながらある主婦は言った。
警察では被疑者、報道では容疑者と呼ぶみたいです。
なんでも、被疑者と被害者が似ていて言い間違えや聞き間違えを防ぐためだとか。




