第十九話 過去そして戦乱
うぅ、コメディーが恋しいよ。
〜fromミドリ〜
緑です。今は梨恵様と戦っている最中でございます…まぁ、今は防戦一方何ですけどね。
「水撃!」
「時空の繋ぎ目発動。」
水流が押し寄せてきたので軽く異世界に転送します。
ふぅ、私は時空を操る能力があって良かったです。
「水撃、火撃、金撃、木撃、土撃!」
「…何か技名が変ですね。作者のセンスはゼロに近いです。」
そう言いながら私はやはり遊鬼様の屋敷へ梨恵様の放った水と火、木、鉄、土の流れを送りました。
「これなら!
天の解放、天昇閃地空!!!」
「ってもう『天』の技を放たれたのですか!?」
私の周りの地面がもり上がりました。もう梨恵様は邪魔をする私を殺る気ですね。でも――
チュドォォォォォォォォン!!!
神々しき光がメイド服の切れ端を吹き飛ばし、天井を突き破り、月を消去して(オイ!サイ〇ジンの大猿化を止めるなよ!)、ついでに付近を飛んでいた地球にぶつかる予定の彗星にぶつかり軌道が変更されて、地球を制服しようとしたタコ型宇宙人のUFOを貫いて地球の平和が守られたことは誰も知らないことであった。
「――でもその技を使うタイミングが少し早いんじゃ無いでしょうか?」
「!」
私はさっきの攻撃をギリギリのタイミングで避け、梨恵様の背後に周りこみました。
「!火炎」
「遅いですよ。時空の裂け目。」
ジュイイィィィィィン
梨恵様の片足が何も無いところに吸い込まれ、そのままひきづりこまれました。
「くっ!ここから出せ!」
「嫌です。」
ふぅ、何とか梨恵様を時空の裂け目に落とすことによって閉じ込めることが出来ました。
〜fromトリモト〜
「お前はかつてはとある国の戦士だった…いや、魔法を使って戦うから魔法戦士とでも言うか。」
「…俺にはそんな記憶は無い!」
「…そうか。お前の過去をお前自身に見せてやる。
今からお前の見ている風景が動かしはじめてやる。」
「…」
辺りの風景が動き出した。ここは農村だ。そこにとある国の軍隊(中世ヨーロッパ的な)が進行している。
その最前列には馬に乗っている隊長副隊長らしき人物の姿が見えた。
***
「おい、レルド。」
「…何でありましょうか?隊長殿。」
「オイオイ、隊長殿なんてかしこまった言い方止めろよ。俺たち親友だろ?」
「ハハッ、確かに。で何だ?」
「そろそろ宿営の準備に入るぞ。」
「え?まだまだ村までは遠いんじゃ無いのか?」
「王からの通達だ…一人残らず殺せとな。明け方に奇襲を仕掛けたほうがいいだろ?」
「……………そうか………。」
「全軍止まれ!」
バサッ
隊長らしい男の指示により全軍が一斉に止まり敬礼をした。
「今からここに宿営をはる。即刻準備せよ!」
「了解!」
(その後)
空は暗く、夜になった。兵士たちは今酒宴をやっているようだ。
「…なぁ、隊長殿。」
「隊長殿じゃなくて、俺の名前はサイロ・ファイロイア=ワルドレアリアルクル・スークレアハイドレイン・デュアルシュワイツゼロルト=サクリファイスだ。いい加減に覚えろよ。」
「そんな無駄に長い名前覚えきれるはずが無いだろ。」
「無駄に長いとは何だ!無駄に長いとは。」
「そのまんまの意味だ。」
「何だと!?まぁ、確かに俺もこの名前は長いと思っていたんだがな。」
「じゃあ言うなよ!」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
盛大な笑い声が辺りに響いた。
***
「…何だこれは?オレはこんな記憶は無い!…はずなのに何だ?このモヤモヤとした感じは。」
(…これはまだまだかかりそうだな。)
〜fromミドリ〜
緑です。今私は一段落ついたところで休んでいます。
…それにしても運が良かったです。本来だったら梨恵様のほうが圧倒的に強いのに焦っていたせいか、閉じ込めることに成功しました。
そういえばさっきから梨恵様の声が聞こえませんけどどうしたのでしょうか?
私は良く耳を澄ましてみました。
「…朝は太陽が全てを照らし夜は月の光が暗闇に降り注ぐ。その光を返しきらめく純白の刀よ、今我に力を与え、全てのものを天の色に染まりし」
えっと、何と言うか危険な予感がぷんぷんします。まるで会社でいう部長が部下のOLと不倫して、それが部長の妻にバレたときのような。(分かりにくっ!)
あ、ちなみに私はそんなことしていませんからね。まだ二十歳ですし。(マジかよ。)
嘘ではありませんよ。本当に二十歳ですからね。結婚もまだですし。それに不倫するとしたらもっと上手くやりますよ。(結局ダメだろ)
グオォォォォォォンドカァァァァァァン!!!
「降臨、『白神』!!!」
「!」
そこには純白の真っ白な刃の日本刀を手に持った梨恵がいた。
あ、そんなくだらないことを思っているうちに空間が破壊されました。
…一旦閉じ込められたら絶対に中からは破壊出来ない仕組みになっていますし、外からは空間を操る能力が無い限りなんらかの干渉することすら不可能ですのに…どうやったのでしょうか?
ちなみに
(ここは本来梨恵がすごくカッコイイ場面のはずなのに緑のせいで緊張感台無し。)
というのは作者の思考である。
〜fromトリモト〜
「とりあえず話は続けるぞ。」
***
今は宿営地での酒宴の後半、ほとんどの者たちは酒によって眠りについている。
「なぁ隊長殿、何かがおかしく感じないか?」
「…ん?なにがだ?レルド。」
どうやらこの二人も大量に酒を飲んだようで酔っぱらっている。
「王の命令のことだ。」
「…あぁ。」
「つくづく思うが何ゆえ同盟国のレミリル王国を倒す必要があったのか?」
「…」
「さらに言うならどうしてここまで執拗に残党狩りをする必要があるのか?」
「…」
「これから俺たちが攻撃するハイサ村だって何一つ問題等は無い平和な農村かときいたぞ。それなのにたった一人の残党が紛れ込んだ可能性があるというだけで村を皆殺しにした後に焼き払えなんてやりすぎかと思わないか?隊長殿。」
「…さぁね。上の考えていることなんて俺たちには分からんさ。ただ俺たちは命令に忠実に従い死なないように精一杯頑張っていくだけさ。」
「…本当にそういうものなのか?」
「そういうものだ。」
「…そうか。」
「さて、明日は早いからそろそろ寝るぜ?」
「あぁ、分かった。」
そして二人も眠りについた。
(明け方)
「今から我らは奇襲を仕掛ける、準備はいいな?」
『オー!!!』
***
パチパチパチパチ
村の様子は正に地獄絵図。血と炎の赤に染まっている。兵士たちの足元にはまるでボロキレのような服を着た首無し死体とボールのよいな首がゴロゴロと転がり、また逃げまどっている人々の恐怖の悲鳴と断末魔の叫びが響き渡る。辺りには血の匂いしかしない。
「…戦争とは悲しいものだな。」
「…隊長殿、もはやこれは戦争というレベルでは無い。ただの虐殺だ!俺たちはこんなことをするために戦士になったのではない!」
「レルド、落ち着け。
…というのも無理な話か。」
「…何故、何故俺たちはこんなことをしなくてはならない!俺は、俺は母国を守るために戦士になった!だが…だが、この有り様は何だ!?ただの人殺しじゃないか!何が『守る』だ?何一つ守るどころかまるで逆じゃないか!
…王の様子が変わったのは三年前、人が替わられたように急変した。今までやってきた平和友好政策は何だったのか、独裁者になりはじめた。
…そう、まるで人類を滅ぼそうとしているかのように!」
「…それ以上言うのはやめとけ。悲しくなるだけだ。」
「でも…」
「でもが何だ!所詮俺たちは1戦士、それだけの力等たかが知れているだろ!」
「…くそっ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「…ほら、行くぞ。」
「…あぁ……。」
ガラガラガラガラ
「!」
二人が歩き出したとき、隣の瓦礫が崩れ、美しい青髪で身体中が泥だらけの女性が姿を現した。
「…助けて、助けて下さい!命だけは!」
女の顔は恐怖でひきつっていた。
更新遅れてごめんなさい。