第十六話 進みはじめる一つの話
今回から話が少しずつ動き出します。シリアス編ちょっと長くなりそうでごめんなさい。
〜fromアーク〜
「…ここはどこだ?」
僕は今真っ白な一直線の通路にいる。
…僕はさっきまで図書館にいたはずだ。
周りの何もないところから笑い声が聞こえてきた後からの記憶が無い。
…どうなってるんだ?
「『スピルレア』!」
「!『エーテルシールド』!!!」
突然背後から複数の槍が飛んできたがガードする。
「『ムーヴ・レッドウォール』!」
「くっ!『ブルーウォール』!」
間髪入れずに迫ってきた炎の壁を水の壁で相殺する。
くっ!僕を攻撃してきているのは誰だ!?姿が見えない。
「『ピル・キャレス』」
「!」
僕の周囲にいくつもの巨大な光球が召喚され僕にレーザー光線を放ってくる。
…おかしい。この魔法は僕のオリジナル魔法でまだ誰にも見せた覚えも無い。それなのにどうして『名前まで』同じなんだ?偶然にしては出来すぎている!
一体この魔法を放ったのは誰なんだ!?
〜fromフロア〜
フロアです。今は空香に頼まれて魔法王を探しているところです。というわけで
「魔法王知らない?」
「またそれか、空香にも同じこと聞かれたぞ。
俺はどこにいるか知らないからな。…まぁ暇だから手伝ってやるか。」
「えっ!?」
「一体どうした?」
「いや、そりゃまぁまさか鳥本が探すのを手伝ってくれるとは…何か企んでる?」
「だから暇だからって言っただろ。」
「…何か信じられない。」
「『死にたくても死ねない』的なことにしてやろうか?」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!というか『死にたくても死ねない』って他の小説の名前なんじゃ…」
「そんなこと言っていたら、どんな言葉も言えなくなるぞ。」
「いやいや、でも今『』で区切ってたよね!?」
「それじゃあ俺は図書館付近を探してくるからな。それじゃ。」
「逃げた!?」
…図書館か…あそこは膨大な量の『知識』と『歴史』がある場所だ。『空白の空間』が発生する確率はかなり高いな。
だが[誰かが人為的に]手を加えない限り、そうそうに発生するものではないはずだ。
さらに言うならばそこへの入り口が現れるのは一瞬も無い間だけ。
しかし一旦入り込んだ後は最後、決して自力で出ることは出来ないし、外部からもそこがどこか分からないから助けることも不可能だ。
まぁ大丈夫だろうが、用心に越したことは無いし、そもそも『空白の空間』なんてものを知っているのは山上財閥の中でも俺を含めて数人ほどだ。普通だったらそんな空間があるとは思いもつかないだろう。
…行方不明と聞いただけで滅多に無いことなのに『空白の空間』なんかを思い浮かばせる俺も十分変だな。
〜fromアーク〜
「『ウインド・ボーム』『サイクロン』」
…二種類の広範囲に影響を及ぼす風魔法を使ったが僕に向けて魔法を放っているやつの姿はいまだに見えない。
「『ピル・メガ』!!!」
僕は前方からとんできたレーザーをギリギリのタイミングで避ける。
未完成だがあの魔法を使うか?いや、失敗すれば取り返しのつかないことになる。…どうする?
「『バルスレア・カーニバル』」
「何だと!?」
上空からありとあらゆる武器が大量に落ちてくる。ソード、ジャベリン、アックス、ハンマー、バルバードまでもが。
どうする?逃げ場は無い。エーテル・シールドではシールドごと押し潰されるし、エーテル・シェルターでももつかどうか…ならば
「『ピル・ジャイロ』!!!」
高速で螺旋状に回転するレーザーを上に向かって放ち、全ての武器をはじきとばす。
「そろそろ姿を現せ!この魔法を使った本人!」
「オレはもうここにいる。」
「!」
僕は背後に振り返る。
「…何だと!?お前は一体何者だ!?」
…その姿は…髪の色こそ僕と違って血のように赤いが…『僕』だった。髪形、容姿、背丈、どれをとっても僕とまるっきり『同じ』だった。
「…お前に答える必要は無い。『ゼルスレア』」
「!『ゼルスレア』!」
「…無駄だ。」
「くっ!」
あいつと僕は同じ魔法を放つが…相殺ではなく向こうの魔法に僕の魔法は全く歯が立たない。
僕はなんとかギリギリで避ける。
「『ムーヴ・レッドウォール』」
向こうの攻撃は続く。…くそっ!
〜fromトリモト〜
「…いないな。」
俺は今、このだだっ広い図書館でアークを探している。
…俺はこの図書館の全ての構造を把握しているが何にせよ普通のやつからしてみると広すぎる。これなら迷子になったとしてもおかしくは無いな。
「鳥本様。山上財閥調査部隊からも全く情報は入ってきていないみたいです。」
「分かった。緑、ご苦労だったな。」
…山上財閥調査部隊でも見つからないとなると、残った可能性はここだけだな。
この図書館は山上財閥の中でも最も広い場所の一つだ。一旦迷えば中の構造を把握していないと間違いなくのたれ死ぬな。
しかしこの図書館の構造を把握しているのは図書館館長の蓮也に桜、俺と緑を含めて数えられるくらいしかいない。
…仕方がないできるだけ使いたくないが『アレ』を使うか。
「緑、ちょっとここに誰も来ないようにしておけよ。」
「…『アレ』を使うのですね。
はい。分かりました。鳥本様。」
「…よし、瞳変更、時間眼!」
〜fromアーク〜
「ハァハァ、くっ!『ピル・テラス』」
最大級のレーザーが『やつ』に迫る。
「効かん!」
しかし全く効いていない。
今のはピル系最大魔法だった。もう僕のエネルギーは底をついている。生命エネルギーも半分ほど使った。これ以上使うと間違いなく死ぬ。今の状態ですらもう命の保障など一切無い。
…だがこいつは今すぐに倒さねばならない、それを本能が告げていた。
「そんなぼろぼろの体でなにが出来る?オレは弱ったやつをいたぶる趣味は無い。もう諦めろ。」
「…『クロス・カトル』」
「効かないって言って…!?何だと?くっ!『クロス・カトル』」
あいつに相殺される。
「…何だ?今の魔法の力は。お前のどこにこんな力が残っているという?」
あいつが何か言っている。しかしうまく聞き取る力も無い。
バタッ
そして僕は倒れた
「……今のは火事場の馬鹿力というやつか。
まぁいい。お前の体を借りさせてもらう。」
バシッ
「…まだ意識が残っていたか?しかしオレの足を掴んだからってなんら状況が変わる訳でも無い。」
「…最後に聞いておきたいことが…ある。」
「…何だ?最後くらいは答えてやる。」
「…い、一体…お前は…誰…だ?」
「…いいだろう答えてやる。オレの名前はレルド・サラブ。お前の言っている『魔王』だ。」
僕の意識はそこで途絶えた。
〜fromトリモト〜
「何だと!?これは…間違いない。何者かによって『空白の空間』が作られている。」
俺は今、時間眼の能力で時間をさかのぼってこの場所の様子を見ている。
それにしてもこれは…よほどの力だ。空白の空間自体を作り替えている。
(一体あれは何なの?鳥本を追ってきたら、なんか瞳の色が翡翠色になっているし、緑には透明魔法を使っているのに攻撃されるし、一体どういうことなのよ!?)
その頃一人の少女、フロアが鳥本の様子を遠くから見ていた。
魔王レイド登場。名字はアークと同じだった。それが意味することとは!シリアス編は続きます。




