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もう、お兄ちゃんしか見えない……【プレ版】  作者: 7×3=お前なんか見てねぇよ、ちょっと自慰識過剰なんじゃねぇの。 と読まれる事もある
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第5盲目 サドルがない?

 病院から自宅前まで、タクシーにて久々の我が家の前に立つ青年。

 とはいっても片足に、松葉杖、ギプス付きという。

 さながら戦場帰りの風体であったが。


 少し前からこっちを見つめる。

 母の後を追い一歩一歩、歩を進める。


 そこで彼は視界の端に、懐かしい顔を見つける。

 事故で強制的に離れ離れになった。

 彼の愛車である。


 まず目に止まったのは、

 違和感だ。


 あるべき場所にあるモノが――サドルがないのだ。

 かなりの衝撃だったからといって、しっかりと固定されていたサドルが飛ぶなどあり得るだろうか?

 事故当時にサドルだけ盗まれたのだろうか?

 たしかにサドルだけなら流用性はあるとは言えなくもない。


 いいや、こんな鉄くずでも持っていく所に持っていけば金になるという。

 しかし、こんな安物の自転車をターゲットにはしないだろう。

 もし高価なモノだったとしても、サドルより遥かに金になるパーツがある。

 まぁ工具も無しに盗めるサドルというのは一番容易なわけだが。

 という事は、あくまでも素人の犯行であろう。

 しかし、金にもならなければイタズラするにも事故車を狙うとはあまりにも何が面白いのか理解に苦しむ。


 奇跡的にフォルムは……そりゃ車が衝突したんだ、が、その割に多少曲がっている程度。

 無理矢理に乗ろうと思えば乗れない事もないのかもしれない。

 だが、これでも乗ろうというヤツは常軌を逸しているとしか思えないだろう。


「もう乗れないわね……それ」

「あ、ああ」


 青年は、サドルがあれば乗れない事もないかもしれないと思っていた。

 サドルがなくとも立ち漕ぎでならいけるかもしれん。

 ブロッコリーがよくネタにあがるが何か変わりの物があれば……


「あれ? ……サドル」

 と呟く母親。

「っかしいわね。昨日雨戸閉める時にはあったと思ったけど……」

 そう首をひねる母親だが、

 人間の記憶というのは実に曖昧で、昨日はあって次の日に無いぐらいなら、

 平気で脳があるように補完してしまったりもする。

 それが視界の隅なら尚更である。

 まぁ昨日もあったのかも定かではないわけだが……



ーー次回、喪おに


母の気遣いーー妹の反応

彼はいろんな意味で帰ってきたんだなぁと感じるのであった……

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