第4話『ド・アウヘーベン』
はあ……久しぶりに書けました…ええ…
11月は忙しかったもので……色々と……某艦隊ゲーの秋イベントとかとか…
まあ……そんな感じでボチボチと書いて行くんで、これからもよろしくお願いします。
※このシリーズは割とパロネタやオマージュ要素を含んでいるので、苦手な方はご注意ください。
第4話…
もしも家庭の事情で海外で暮らして、久々に故郷に帰って来たら…
~始まります
第4話『ド・アウヘーベン』
…………………………………………………………………………………
パシャ..
それは水の音…
だがそれはただの水の音ではない…
石に水が掛かる…そんな音である……
さて…ここはどこか?
そんな事分かる筈がない。直ぐに読者に場所を聞くなと?
それもそうである。
なら言おう。
ここは墓地だ。
ちょっと町から外れた場所のお寺の裏にある、何処にでもある墓地。
そして、水を掛けられた石は、墓石。
刻まれている文字は…そう…
《早乙女家》…だったそうだ…いや、そうなのである。
「うにゃ...久しぶり来たけど…大分汚れてるな…前に来たのって何時だっけなあ...?」
石を磨く少女。
何故少女は石を磨くのか?
何故、人はその石を、墓を大切にするのか?
それは、人が寂しがり屋だからだ。
死んで別れたとしても何かしらの関係を保ち続けたいからだ。
要するに、人は何処まで行こうが寂しがり屋って事である。
「させと、これで大分綺麗になったかな?」
石を磨き終わり…美穂は買いそろえたお供え物えを並べていく…
「お父さんとお母さんには果物でっと…兄貴には…ニラでいいかな?」
『…………………………………………………………………………………………………………………』
返事はない…そりゃそうだ…
「うにゃにゃ、冗談冗談、兄貴のもちゃんと用意してあるよ」
『…………………………………………………………………………………………………………………』
さて、お供え物を並べ終え…
線香に火を付け、手を合わせる……
「お父さん…お母さん…兄貴……
今日ね、私ね…何と高校生になったんだよ?全く変な話だよね…こんな時期から高校生なんて」
『…………………………………………………………………………………………………………………』
「…朝から色々あって、学校についても色々あって、ここに来るまでも色々あって………
ホント、色々過ぎたけど、隣の席の子とは仲良くなれそうなんだよ、うん」
『…………………………………………………………………………………………………………………』
「だから…だからさ、安心してね?
私は大丈夫だから…頑張って行くから…絶対に頑張るから」
『…………………………………………………………………………………………………………………』
返事はない…
けど、確かに伝わっている…そんな気がする…
それでいいのだ…
この石は…その為の石なのだから…
「それじゃ…またね…お父さん、お母さん…兄貴…
次来る時は多分、巡お姉ちゃんたちと一緒に来ると思うから」
家族への報告も終わり、美穂はその場を去ろうろとした…
時である。
カラン…
何か落ちる音…木製の物から鳴る音に似ている…てか、それである。
「うにゃ……?」
美穂が音の方に振り向くと……
「あーあ…何だよこれ…穴開いてるじゃないか…このバケツ…つか、ついてないな…僕…」
男がいた…
少し隣の方に…もう六月近いと言うのに、真黒な服を全身に纏った…若い男がバケツを覗き込みながら嘆き声を上げている…
「…どうしたんですか?」
どうやらお困りのよう…
美穂はそんな人をほっとける人間ではないのである。
「ああ…?ああ、いやさ、そこの花屋で花を買ったついでにバケツを借りたんだけど…っさ。
……花屋の奴……僕に穴の開いたバケツを渡しやがって…つか、何さまのつもりだ…あの花屋…」
今にもその花屋を燃やしてしまいそうな人相で顔中、怒りの皺を寄せて愚痴る男…
これから毎日、花屋を焼こうぜ?
「流石に借りといてその言い方は無いんじゃないんですか?」
確かにそれは気の毒だが、借りといて何さまはないだろと思う美穂である。
「うんそれは、軽いjokeだよ」
「え…?」
そう思った瞬間に何を言いだすかこの男は。一瞬で怒りの皺が消え、ニコやな表情を見せる。
「そうすれば、穴が開いてないバケツが来てくれると思ってね。つか、ホントに来たよ」
美穂の持つバケツを見ながらニヤケル男…
どうやら、音を鳴らしたのも愚痴を言ったのも彼なりのバケツを召喚する儀式だったようだ……
男はしてやった顔であるが…
「.....素直に頼み来た方が早いし…紳士的じゃないんですか?」
美穂はド直球に思った事を口にした…
「うん、僕もやってからそう思った。つか、これ思いついた奴はホント馬鹿だね、うん」
変な男である。
「でだ、君に改まって頼みがあるんだが…」
何を今更…
「うにゃ...バケツでしょ…全く、貸しますよ」
美穂は呆れた表情でバケツを男に渡した…
「それはこうもどうも、助かります。つか、ホントにありがとね」
今更、紳士的に深々と御辞儀をし、男は早速美穂から借りたバケツで水を汲みに行った…
その間、美穂は特にやる事なし。
ふと、男が参りに来た石を見る。
すると、その石にはこう刻まれていた…
《山梨 越知無》
そう石に名が刻まれていた…
「やまなし………何て読むんだこりゃ?お………ち、む?」
特別な読み方でもない限り…多分のそれであろうが…変わった名前である…
それより、山梨は…今日はどこかで聞いたような…?
そうそう、隣の席の彼女の名字だ…まあ、そこまで珍しいとも、珍しくもない名字だが…
「ただいま~」
男が陽気に帰って来た。
だが、おかえりとは言わない。
「....ツレナイネ…つか、いいんだけどさ」
男は汲んで来た水を石に欠ける…
バシャ…
石の汚れは綺麗さっぱりである。
でも、もっと汚れを落したい人はこのJ〇Yを...って別に、この物語は洗剤を勧める物語じゃないぜ奥さん。
「ふぅ....助かったよ、つか、ありがとう」
男は美穂にバケツを返す。
と、同時にどこからともなく一升瓶を取り出す。
「お礼に一緒に飲むかい?」
「これはこれは立派な焼酎……って、飲めるかい!!私、どう見ても学生でしょうが!」
「知ってる、つか、冗談」
ニタニタとニヤツクこの男…
(殴っていいかな?)
イイトモー!!
「いや、全然よくないよ。つか、冗談だから。君にはコレね」
男はまたもや何処からか水筒を取り出し、カップに注ぐ…
「それ…何処から出したんですか?」
「お兄さんはね、魔法使いなんだ」
即ち、DT.....
「デュ〇ル・ターミナル?」
さあね?
そのカップを美穂に渡し、美穂は中身を確認してみると……
そこには、真黒な液体……
重油…
うな、訳ない、匂いからするに珈琲であろう…
実は、珈琲の匂いがする醤油でしたー。とかなら、この男ならやりかねそうだが、美穂はそんな醤油なんて聞いたことないし、お礼までそんなことする奴ならホントにぶん殴ってやろう。
そんな物騒な事を考えながら美穂はカップに口を付けた…
「………………………美味しい……」
普通に美味である…
水筒に入れてる為、冷めてはいるが…それでも美味しく感じれる程、美味である…
「そうだろう?
つか、海外から直接取り寄せた特別な豆を使っているからね…不味い訳ないんだよ」
「……………」
そんな豆なのか…
しかし、この味…どこかで飲んだことある味…しかもに最近に……これがホントのデジャブウ?
まあ美味しければ、何も問題はない。
美穂は折角なんでチョビチョビとゆっくり飲んでいく。
その間、男は杯に焼酎を注ぎ…
一口、口に付け…
「うん、やっぱ美味しな…これ」
残りは墓に供えた…
男は静かに手を合わせた……あの先ほどのニヤついた顔は消え…
真面目な顔している………
そして………少し…悲しそうだ………
美穂は黙って…静かに黙ってそれを眺めていた……
暫くすると、
ヒュウウゥゥゥゥゥー………
風が吹いてくる…六月が近いと言うのに冷たい風……
それはもうじき日が沈むことを意味していた………
………………………………………
「済まないね、付き合わせてしまって…」
「付き合うって程の時間でもないしイイですよ」
男の報告も終わり、互いに身支度を整え帰る支度が済んだ…
「お礼と言っては何だが、君のバケツを花屋に返しておくよ。つか、花屋にはケチ付けないとね」
「うにゃー、また冗談ですか?」
「いや、今度は本気だよ?」
相変わらず、変な男だ、この男は…
まあ、根は悪い男ではない……と、思う美穂である。
「おっと、そうだ…」
男は何かを思い出したかの様に…また魔法とやらで何かを取り出した…
「君にはこれを渡しておこう…これもお礼ってことでね」
男がそれを美穂に手渡す……
「これって…………ペン………?」
そうペンである。
しかも、ただの変哲もないシャーペンである。
キャラクターとか限定物でもなんでもない、ただの市販の一本のシャーペンである。
「不服かい?」
「いや、不服も何も突然過ぎて…」
「実はそれはお守りなんだよ」
「シャーペンがですか?」
先ほどの通り、一般的な物であるが?
「そのペンはね、僕の亡き教え子の愛用していた物d、」
「それって呪われてるじゃないですか!!」
「呪い(まじない)と呪い(のろい)も字は同じだろ?」
「そうですけど……って、お守り要素は?」
「さあ?」
さあ、じゃねーだろ。
まあこれも自分をからかう冗談だろうが…
質の悪い男だ。ちょっとでも悪い人ではないと思った自分が馬鹿であった。
美穂は半分呆れ、何を言おうが返品できないと悟り…シャーペンをスカートのポケットに突っ込んだ。
「ハア…………じゃあそろそろ私は帰りますね」
「最後に一ついいかい?」
「………なんです?」
「名前いいかい?」
そういえば、まだ名乗っていなかった……
「悪用……しませんよね?」
「名前だけで悪用できるなら、電話帳みただけで悪用し放題だよ」
それもそうだ。名前なんて調べようと思えばいくらでも調べれるご時世である。名もなきファラオでもないのでここは名乗っておこう。
「私は……早乙女…早乙女 美穂です」
「早乙女…か、やはり…そうか…」
何がやはりだ…
「僕は、牧士 砂間田……牧師って呼んでくれても構わないよ」
それで黒い服か…謎の納得である…
「牧師さんなんですか?」
「仇名だけ、だけどね」
どういう...ことだ....?
まあそういうファッションなんだろうきっと。気にしてはキリがない。
時間も時間だし、今日はもう帰るか…
「じゃ、牧師さん」
「ああ。
最近、変質者が多いらしいから気を付けるんだよ」
それは、アンタじゃ……って失礼過ぎるか…
美穂は墓地をボチボチと後にしたのであった………
…………………………………………………………
美穂の去った後、墓地では…
「ハア…まさかこんなとこで彼の妹君にであうとはね…つか、奇跡ってより皮肉だよねこれ?」
男は…牧師は煙草を吸いながら複雑そうな笑みを浮かべていた…
「元気そうで何よりだったけど…まさか彼女にも“力”があるとはね……蛙の子は蛙…蛙の妹も蛙か…」
ふう…と、一息吐けば、出てきたのはドーナツ状の輪っかである。
「……彼女は“あの力”に覚醒する可能性はなさそうだけど……何でだろう……?」
牧師は不思議に思う事があった…
彼のシャーペンをお守りとして唐突に渡したことか?確かに、彼が持てば心強いお守りになるが、彼の妹が持ったところで何の意味のないただのシャーペンである…
不思議に思ったのはそこではない。ただそれは、彼の私物を自分ではなく彼の家族が持っていた方が良いと判断したに過ぎない…正直、ちゃんと渡せてホットしている…
では、何を不思議に思っているのかと言うと…
牧師の“力”に関係している……………
彼は“力を見極める”ことのできる“力”を持っているのだ……今まで何人もの“力”を見極めてきたのだが………
「何で…………彼女のが見えなかっただろう……………」
彼女が“力”を持っているのは分かった……だがその先を知ろうとすると………頭に浮かぶのは…………
『?????????????????????????????????????????』
?だらけ……なんも情報が入って来ない……こんな事は……初めて………
「…………つか、初めてではなかったね………………」
牧師が後ろに振り返ると…そこには墓石…我が愛する息子の名を刻んだ…墓石である……
「君たちもそうだったね………」
ヒュウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー……………
渋くて冷たい、露近くには似合わない風が吹く……………
………………………………………………………………………………………………………………………
さてさて、もう空は暗くなり、もうそれなりにいい時間…それだって言うのに美穂って奴は……………
「…………………………うにゃ……………?」
道に迷っていた……
「おかしいな……確か……この道で合ってる筈なんだけど……うにゅ………」
何故迷ったのか?
帰り道が迷宮にでもなったからか?
そんなことはない。理由は何時もシンプルである…
普通に真っ直ぐ帰ればいいものを……調子こいて、近道や抜け道を試してみるからこうなるのだ…
勿論、何も考えなしで試した訳ではない。
つか、そもそも試したという言葉自体が間違えである。
長年、伊里町に暮らしていた美穂にとってここはホームグラウンド。知らない道などない筈だった…
だが、駅が出来た事による道路の舗装工事なとが去年行われ…若干、道が変わってしまったのである…
「はあ……地図、地ー図と、」
美穂は道を確認する為、携帯電話を取り出した。
たく、GPSって奴は便利なもんだ…
が、
「………うにゃあ?!充電切れてるじゃん!!」
A☆RE☆MA、
そいつはついてない……
「あーあ…………やっぱ、ガラケーの方にしとけば良かったかなー?」
最近はスマホも充電結構モツらしいけどな。でも、作者はもってないのでモタないイメージしかない。
そんなことは兎も角、何とかして自力で知っている道に出なくては…
美穂は腹を空かせながら、歩き続け路地を抜けると……
「うにゃ…………?」
ラッキーな事に美穂の通う学校の前に出た…
ここからなら、朝に通った道に行けるので迷わず家に帰る事ができる。
「はあ~……助かった~」
下手したら、《女子高生失踪!?》と、朝の新聞の一面を飾るところであった………
ほっと一安心する、迷える子羊系JK。
だが!!そんな安心は束の間である!!
ダン!!ダン!!ダーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!
それは足音!!
下品な足音!!!
何処からだろうか?!
美穂は辺りを見渡し、耳を澄ませる!!
そこだ!!
学校の方!!玄関の方から、その足音が聞こえる!!
即ち、誰かが玄関から出てくるって事である!
誰だ?!誰が出てくるんだ?!!
出てくる事が解っても美穂からは誰なのかが解らない!!
解るのは…そう!!そいつ誰だか解るのは校門から出てきた所である!!!
そいつは男であった!!
「…あぁん?…てめぇーは…」
「うにゃ………」
そう男!!あのあの男!!どの男?!
前回、美穂にぶつかってきた、アフロの大男!!1.9M級の巨人である!!!
同じ学校に通う故、何時かは再会するとは思っていたが、まさかこんなに早く再会するとは……まさについてない美穂である…
「…………………………………」
男は美穂の前に立ち、黙ってこちらを見る!!
それでその時間30秒!!リアルだと割と長く感じる時間!!!
「うにゃ……な、何ですか………?」
正直不気味である!!
これなら、怒声を上げてきた方がまだマシである……
「いやなあ……試す相手には……丁度いいと思ってな………」
「…………うにゃ……………試す?」
何を試すと言うのか?そもそも何で試すのか?それは勿論、美穂に言ってるので、美穂に決まってる。
それは、美穂を解ってる。そして勿論、モルモットなんてゴメンである。
「………………」
美穂は背を向け真っ先に逃走の態勢をとった!!
良い判断だ!!
だが、それは常識の範囲中での話しである!!!!!!!!!!!!!!!
「待てよ………逃げるなよ!!この“力”を……“今さっきに手に入れたこの力”を試させてクレヨン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間ンンンンンンンンンンンンッ!!!!!!!!!!!!!
「うにゃ?!!」
「ヒエェヤァアアアナァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
男は、両腕を自身のアフロの中に突っ込み、美穂に飛び掛かって来たァァァァぁぁー!!!!!!!!!!!!!!
「うにゃらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!!!!!!!!何なのこの人?!!!」
美穂は一度振りむき、構えの姿勢を取る!!
このアフロ男が何を考えているかが理解できないからだ!!!!!
美穂に殴り掛かるつもりなのか?!!!
アフロの中に隠した右腕でか?!
それとも左腕でか?!
意外ッ!!それは髪の毛!!
「………………………………………はあっ?!」
何ということだ!!!
アフロ男のチリチリな髪の毛が一本の長い触手のようになりィッ!!!!
美穂の右腕に絡みついてくるじゃ、あーりませんか!!!!!!!!!!!!!
「うにゃ……何これ…一発芸…てっ、痛っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!!!!!!!!!!!
凄い力である!!!馬鹿力である!!!!!
ただの髪の毛だと言うのに!!!!右腕の肉を縛り!!!!骨の芯すら砕こうするではないか!!!
こりゃ大変だ!!!右腕が死んでしまう!!!!!
いや、美穂自身すら死んでしまう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ヒエェヤァアアア!!!!スゲー!!!俺ってスゲー!!!これなら生徒会なんか恐くねぇーーーーー!!!!!
俺に不可能はないぜぇぇぇっ!!!!!ヒエェヤァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
絶対絶命のピンチィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
どうなる美穂?!!!!
てか、どうしてアフロはこんな一発芸を?!!!!!!!!!!!
待て、次回を!!!
第4話…完
次回…第5話『ノ・ロマネスク』
はあ…やっと次回バトルだよ…
実を言うともう、次回の分は書き終えたんですけど、割と重要となる部分で…
下書きとなどを含めた場合、5回ぐらい書きなおすはめになりました…
三話の思いつきで付けた設定が大分響いてしまいました……はあ……
では次回もよろしくお願いします…