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プロローグ
今から遠い昔、深い山の山間に一つの小さな村があった。
他と交流を持たずひっそりと暮らしていた村の人達を守っていたものが村から少し離れた山にある小さな社に祀られている。
森に住む獣から村人を守り・・・
土砂崩れや山火事から村を守り・・・
外敵や災害から守り続けた存在。
長い黒髪に赤い瞳をした小柄な少女の外見。
そして頭にある一本の角から村人達は感謝や畏怖の思いをこめて
『鬼姫様』
と呼んでいた。
しかしそれから長い月日が経ち、村から人がいなくなり廃村となって鬼姫様が守るものが消えてしまった村。
鬼姫様は古びた神社から廃村を見つめていた。守るものが消えた村をずっと。
村が廃村になってから数百年後の神社の境内。
物語はここから始まる。