第7話。魔物の襲撃。
スタンビートの警戒警報が鳴り響いてるわ。
私は一旦、冒険者ギルド本部へと向かった。
中はパーティー編成で冒険者たちは慌ただしいわ。
本来ならパパ、私、アーサーで組みたいのだけど……。
いつの間にか、こんな流れになるなんてね。
いっそうの事、王城に向かおうかしら……。
冒険者ギルド本部では、魔物の襲撃に備えて冒険者たちがパーティーを組んでいた。ギルド長はどこかへ行って留守になる。冒険者たちを束ねる者がいた。副ギルド団長であった。
副ギルド団長は3階に上がり皆に伝える。
「皆!聞いてほしい!国の方針は籠城戦だ!」
「王と親衛騎士たちは籠城で迎い打てとの事だ!」
「今度のスタンビートは何かが違うらしい!」
「皆!気を引き締めて作戦に取りかかろう!」
一斉に冒険者たちは頷く「お―――!!」
ココロ街では5年目の頃になると必ずスタンビートが発生していた。今回に限っての事ではなかった。
ほとんどの冒険者たちがパーティー編成を終えていた。残すはアンナ1人であった。
アンナとパーティーを組みたい冒険者たちが沢山いたがアンナがギルド本部に居なかったので諦めた者たちが多かったのだ。
するとアンナの所に駆け込む3人組がいた。男女のパーティーだった。アンナは3人を見つめる。
「あ、あの……もし、宜しければパーティーを!」
「ココ!先に挨拶しないと失礼だぞ!」
「は、初めてまして自分はリュカスです!」
リュカス。言葉遣いが良い。
「俺はエリオスです!宜しくお願いします」
エリオス。声が大きくて、堂々としている。
「わ、私は……ココ……ココです」
ココ。少し喋るのが遅い、そして小声で呟く。
アンナは心の中でつぶやく「まだ12歳ぐらいの歳かしら?」
「君たちは歳いくつかしら?親はどうしたの?」
「冒険者には歳は関係ないかと思います!」
「エリオス、失礼だよ、この方は冒険者ランクが」
「ランクAなんだよ……エリオス……」
「げっ!もしかして!あのドラコンを討伐した!」
「初めまして、エリオス君、リュカス君、ココちゃん」
「わぁーアンナ様に「ちゃん」て呼ばれたぁ!」
喜ぶココを見てアンナは「クスッ」と笑うのであった。アンナは決めた。この3人とパーティーを組もうと。
「パーティー編成の手続きに行きましょうか」
「はい!お願いします!アンナ様!」
「すげぇー!俺達、ランクAとパーティーかよ!」
「ココ……が、頑張ります……!」
4人は受付へと向かう、受付娘が慌ただしく働いていた。すると一人の受付娘がアンナに気づく。
受付娘はアンナを見て喜ぶのである。
「アンナ〜5年ぶりだね!もしかして……!?」
「えぇ、そうよ、カリナ、私も参加するの」
受付娘の名前は「カリナ」と呼ばれていた。アンナとは15年の付き合いであった。アーサーが生まれて以来の再会である。
「あら?例の3人組さんね、アンナと組むのね」
「覚えてて、くれたんですね!」
「すごい……この……受付お姉ちゃん」
「俺たちも、いつか有名になるかもな!」
「クスッ、違うわよ、カリナは記憶力いいのよ」
「アンナ、気をつけて、情報によると……」
カリナの言葉を遮るようにスピーチ放送が流れる。
『冒険者様の皆様!魔物が街へと向かってきてます!繰り返します!魔物が街へと向かってきてます!各自、準備をしてください!』
副ギルド団長が冒険者たちに号令をかける。
「全員!親衛騎士たちと城門に合流だ!」
「北と南に冒険者たちを分ける!各自の判断だ!」
「特に腕の立つ者は北側に行ってほしい!」
一斉に冒険者たちは力強く頷く「おー!!」
「私たちは北を担当しましょう、いいかしら?」
「は、はいっ!ココ……頑張る!」
「僕はアンナ様の行く所ならついていきます」
「俺も賛成です!初陣ですが!」
4人は北側の防衛へ回る事にしたのである。
冒険者たちの職業は様々だ。戦士、ファイター、アーチャー、クレリック。上位職では、ナイト、剣士、盗賊、上位ヒーラー、ガンマスター、ティマー。各自の職が魔物の襲撃に備える。
そして空から魔物が接近していた……。
第8話。オークとオークの闘い。