第5話。冒険者ギルド本部へ。
私たちは、いよいよ街へと入国する。
アーサーには全身、アーマープレートを着せた。
本来なら、こんな事はしたくない思いもある。
堂々と本来の姿で街を連れ回して……。
アーサーは私の気持ちを理解している。
だから、嫌とは言わずに鎧を着てくれた。
それに娘がアーサーの良い理解者になってくれてる。
パパが街に居てくれたら良いけど、忙しいそうかも。
なにせ、あの人のランクは……。
アンナ家族はココロ街の近くまで来ていた。城門は目と鼻の先である。アンナは先に門番に挨拶する。
アンナは冒険者カードを見せて息子と娘を紹介させる。アーサーはマジマジと門番を見つめていた。娘のリオラは5歳ながら軽く頭をさげる。
アンナの冒険者ランクのお陰で容易に通過が出来たのであった。アンナは内心、ホッとしている。
アンナ家族は街の中心にある広場へと向かう。
ココロ街の人口は役5万人である。都市の面積は2000平方キロメートルにもなる(※東京と同じくらいの面積である)
その人口の中にオークが混ざってる。アンナにとっては「賭け」でもあった。この街に色々な種族が居るが魔物はアーサーだけである。
人間族。エルフ族。ドワーフ族。獣人族。イヌ族。ネコ族。計6種族であった。獣人は人間と肌の色が似ている。イヌ族は頭に犬耳が生えていた。ネコ族は頭に猫耳が生えてる。
どちらも人間に近いようで遠い種族であった。
アーサーは多くの人種で混乱寸前であった。キョロキョロと見渡していた。全てが初めての経験だ。
街の建物。道路を行く馬車たち、はたまたお店。そして近くで見る人間たち、己と違う種族たち。アーサーにとって全てが新鮮であった。
「アーサー、離れちゃう駄目よ、ついてきなさい」
「マーマ、ワカッテル、ぉれ、ツイテイク」
「に〜に、オンブして〜」
アーサーは片膝をつきリオラをオンブする。鎧を着てるせいか少しぎこちない。
アンナは広場の奥にある。冒険者ギルド本部へと急ぐのであった。幸いまだスタンビートの警報は発令されてない、アンナは内心。ホッとする。
この街の構造は至ってシンプルだ。城門は北と南だけであり。城門を通過したら市場と住宅のエリア。そして奥に進むにつれ、広い広場がある。さらに奥に進むと冒険者ギルド本部が建っている。
さらに奥に進むと王城が見える。王城には決められた者しか門を通れない。近衛騎士団と最高ランクの冒険者とギルド長のみである。
アンナは冒険者ギルド本部の入り口へと到着した。深呼吸して冒険者ギルド本部の中へと入っていく。
冒険者ギルド本部の建物は3階建ての構造になっていた。木製と鉄製の建物であった。
すると数人の冒険者たちがアンナに集る「あなたは!あの冒険者アンナですか!」「本物だ!凄いー!」「後でドラコン討伐の話しを聞かせてください!」
アンナはいつの間にか冒険者たちに囲まれていた。
「に〜に、ママ?にんきものなの?」
「ニンキモノ?ヨク、ワカラナイ」
すると声が響き渡る「てめえら!困ってるだろ!」
3階からゆっくりと下りてくる男性がいた。身長は軽く190はあるだろう。体格は筋肉がある。金髪で少しシワが目立つ。ロングヘアー。
「よぉ!アンナ、待っていたぞ!来たか!」
「ギルド長、お久しぶりですわね」
「んん?お前の後ろに居るのは……もしや!」
「はい、息子と娘になります、ギルド長」
「リオラ〜!久しぶりじゃねえか!」
リオラはすかざすアーサーの背中に丸くなり顔を隠す。照れるのではない。苦手なのである。
「ん?もしかして!?アイツの息子か!?」
「えぇ、そうよ、私たちの息子なの」
「歳はいくつだ?お前は?」
「アーサーは今年で……15歳になるの」
アンナは嘘を言うしかなかった。オークで5歳とは言えない。言えば、ここに居る全ての冒険者が敵になる。
「所でギルド長、私の旦那はどこに居るのかしら?」
「今、アイツは王城で王と作戦会議を開いてる」
「警報が近いからな、アンナお前も参加だぞ!」
「参加してもいいわ、でも息子と娘は駄目よ」
「もちろんだ!まだ冒険者じゃないからな!」
こうしてアンナはスタンビートに参加する事になった。
そしてアーサーはどうするのか?
次回、第6話。スタンビート警報発令。