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11-7

赤嶺が左手を少年の口から外す。

「なんという恐るべき作戦なのだ。お姉さん、あなたは悪のお姉さんだ!」

トラノスケ少年は赤嶺に言った。

「そのとおり。僕は悪のお姉さんだぜーい。さあ、君はどうする?僕たちに抵抗して、ハルカちゃんが好きだという宣言をされてしまうのか。それとも僕らニジヘビ団に屈してしまうのか?」

「くそう!悪者に屈して野球場をあきらめるだなんて、そんな理不尽があってたまるものか!しかし、ここで僕が下手を打ってハルカちゃんに嫌われてしまったら…嗚呼っ!その隙に、バスケットボールクラブの岡村くんが、ハルカちゃんをデートに誘ってしまうんじゃないだろうか⁉」

「ふふふ、岡村くんはどんな子なの?」

「キザな、ハゲタカのような男!」

トラノスケ少年は怒りと不安に心をかき乱され、歯を食いしばって空を見上げた。彼は青空を背景に、これから起きるかもしれない失恋ストーリーを妄想した。キザな岡村くんが「イェイイェイ」と体をくねらせる変な踊りをしながらハルカちゃんに近づいて「悪の組織に好きな人をばらされる男なんか君には似合わないよ。それよりも僕のバスケの試合を見に来ないか?君のためにロングシュート決めちゃうよ!」とハルカちゃんを誘うのだ。ハルカちゃんは「岡村くん、バスケやってるの?」と乗ってしまうかもしれない。「待ってハルカちゃん!」慌ててトラノスケ少年は手を伸ばす。しかしトラノスケ少年の声は届かない。ハルカちゃんは横目でトラノスケ少年をちらりと見て、背を向けるだろう。その肩に岡村くんの手が乗せられる…。遠くからギターがかき鳴らされる音が聞こえた。

トラノスケ少年の心に炎が燃え上がった。彼は意を決し、正面のチームメイトたちに視線を移した。

「ニジヘビハウジング、ばんざい!分譲住宅、ばんざい!」

トラノスケ少年は悪の組織を称えた。彼の心は悪に堕ちたのだ。チームメイトたちは

「ええ?」「どういうこと?」

と困惑の声を上げた。


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