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11-6

動けないトラノスケ少年に、妖しい笑みを浮かべた赤嶺が顔を近づけ

「ねえ、君のクラスメイトにハルカちゃんって名前の女の子はいる?」

と小声で聞いた。

「えっ…?いるけど、なんで…?」

「いるんだ、ふーん」

赤嶺はトラノスケ少年を心配するチームメイトたちを振り返り、拡声器で

「今からこの少年に、好きな女の子がいるか聞いてみたいと思います!」

と高らかに言った。

トラノスケ少年は驚きの顔で、慌てて何か言い返そうとしたが彼の口を素早く赤嶺の左手がふさいだ。そして赤嶺は再び少年に顔を近づけて

「ここで僕が、君の好きな好きな女の子はハルカちゃんだーっ、て宣言したら君のお友達たちはどうするだろう?みんなに言いふらすだろうなぁ。明日には全世界にバズってしまうだろう、君はハルカちゃんが好きだって!」

「んーッ!んーッ!」

トラノスケ少年の抗議の声は赤嶺の意地悪な手によって封じ込められた。

赤嶺は少年を追い詰める言葉を続けた。

「想像してみて。君のお友達たちは面白がってハルカちゃんに教えるんじゃないかなぁ」

トラノスケ少年は想像した。大よろこびで恋の噂話を騒ぎ立てる友達たちを。彼らはトラノスケ少年の止めるのも聞かず、教室の後ろの席のハルカちゃんのところに走っていくだろう。そして彼女に告げるのだ、『トラノスケがお前のこと好きだってよ!』と。ハルカちゃんはあわあわしながら、両手と首をブンブン振って否定の意思を示すだろう。

「きっとハルカちゃんは、みんなにからかわれるのが恥ずかしくって、私は彼のことなんとも思っていない、ってゴメンナサイするだろうね。わかるかい?君は告白もしていないのにフラれてしまうんだ!」

赤嶺の言葉に、トラノスケ少年は震えた。


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