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電話を終えた奥平は
「ええい、たらいまわしだ!第3、管区、特殊科学、組織管理局、と…」
とスマホを操作して検索を始めた。
「監督さん、残念なお知らせがあります」
アナウンサーのユナが奥平のそばに来た。
「管理局にかけても、今日はヒーローは来ません」
「えっ?」
「特殊科学組織管理局は、ニジヘビ団の対応は自分たちの仕事ではなく税務署の管轄だと思っているんです。管理局の仕事外でヒーローに来てもらおうにも私たちの番組の予算が足りないので、それも叶いませんでした」
「縦割り行政のダメなところだ!」
奥平は悔しがって自分の太ももを拳で叩いた。
ベンチの中で日本の行政の問題点に奥平が頭を抱えている間にも、戦闘員たちはグラウンドに白線を引いて区画を整理していく。
野球チームの少年たちはグラウンドの端っこに集まり、自分たちの野球場が奪われていく様子を呆然と眺めていたが、一人の少年・佐竹トラノスケは
「悪者たちめ、僕たちの野球場を返せ!」
と怪人たちに向かって手を振り上げて駆け出した。仲間たちも慌てて彼の後を追う。トラノスケ少年はアルマジロ名古屋の甲羅に
「こいつめ!こいつめ!」
と小さな拳を何度も叩きつけた。アルマジロ名古屋はまったく意に介さず測量機器を覗き込み仕事を続けている。
「あっ!」
トラノスケ少年が悲鳴を上げた。彼の小さな体を、紫垣が後ろから捕まえたのだ。すかさず青島と緑川が左右からトラノスケ少年の腕を掴み、黄瀬が屈んで両足を抑えて抵抗できないようにした。




