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「ええ。でも、出演してくれるヒーローが決まらなくて内職中」
ユナは手に持ったスマホの画面を見せた。ヒーローたちの写真と説明が表示されている。
「それは大変ですね。でも、必ずしも必要ですかね、ヒーロー」
紫垣はそう言うと、赤嶺に
「シーフードパスタ、セットで。コーヒーを先に」
と注文した。
「かしこまり」
と赤嶺が厨房に入っていく。
「ヒーローが必要ないとでも?」
とユナが聞き返した。
「ニジヘビ団が主演の番組ですよね。何も毎回ヒーローと戦わなくてもいいんじゃないかと思うんです」
「でもそれじゃ悪の組織の活動をただ放送するだけになっちゃう」
「戦闘がなければ我々もケガしないで済みますし」
と紫垣は赤嶺が持ってきてくれたコーヒーを飲みながら軽く言った。
「うーん…」
ユナは難しい顔をしながらスマホを睨みつつカレーをパクパク食べるのだった。
土曜日の午前中、Z市内にある市民球場では少年野球チームのZピジョンズが練習をしていた。
ピジョンズ監督・奥平キョウヘイが球をノックして少年たちがキャッチしている。ありふれた少年野球の練習風景だ。そんなありふれた日常を壊したのは、アルマジロの怪人を先頭に現れた悪の集団だった。
「野球少年たちー、おはよーっ!」
メイド姿の赤嶺が拡声器で呼びかける。少年たちは戸惑いながらも礼儀正しく
「おはよーございまーす」
と挨拶を返した。
「たった今から、この野球場は僕たちニジヘビ団が占領します。そしてここに住宅を建てて多大な利益を獲得するのです。ニジヘビハウジング分譲住宅大作戦です。少年野球のみんなは、今すぐご退場いただきますようよろしくお願い致します」
赤嶺は残酷なアナウンスを少年たちに告げた。少年たちが不満の声を上げるのもお構いなしに、戦闘員たちは勝手にグラウンドに広がって測量を始めた。




