10-10
赤嶺はアルコールで紅潮した頬をぷくっと膨らませながら考えて
「うーん…初恋の人に会いに来たとか?」
と言った。
ラムーバはびっくりした顔で赤嶺を見て
「当たり」
と言った。
「ありゃ、当たったんだ」
「どうしてわかったの?」
「なんでだろ?最近僕も初恋の人に会ったからかな」
「そうなんだ。初恋の人に会ってどうだった?うれしかった?相手は覚えてた?喜んでくれた?」
「うれしかったよ。相手も、うん、きっと喜んでくれたんじゃないかな」
赤嶺はアルコールで熱くなった体の中の空気をふぅーと吐き出してから
「不思議な気持ちだった。初恋の人がいて、今好きな人がいて。…なんでかわかんないけど、初恋をしてた子供の頃の自分が愛おしいような気持になって…あはは、なんか僕、酔っぱらってるね」
と照れ笑いをした。
赤嶺を見つめるラムーバの瞳が潤んだ。
「むかしね、私たち火星人は地球の事を調べるために地球人を捕獲して火星に連れて行ってたの。もうしてないわよ。私が子供の頃、同じくらいの歳の男の子が地球から連れて来られてて、その子と友達になったの。火星当局はその子を地球に戻す時、火星での記憶を封印した。だからその子は私の事を覚えていない。でも、会いたい。今どんな風になってるんだろう」
「そうか。その子の事好きだったんだね」
「うん。大切な思い出」
ラムーバはくすぐったいような微笑で足元の芝生を見つめた。




