第10話 火星から来た乙女
その日、大学を終え秘密基地に帰宅した赤嶺は、食堂で怪人や戦闘員たちが何か討議している場に出くわした。
「本当に見たんだって。あれぜったいUFOだよ」
マーモット橙木が力説するのに、トナカイ上杉やカモノハシ室井といった怪人や戦闘員たちが「いやいや」「見間違いだって」と否定をしている。マーモット橙木の横では紫垣が指先で顎を撫でながら、肯定も否定もせずといった感じで成り行きを見ている。
「どうしたんですか?」
赤嶺は近くに緑川を見つけて声を掛けた。
「今日、相模川で仕事だったんだけど、その時、橙木さんがUFO見たって」
「UFO。本当ですか?」
「見たって言ってるの橙木さんだけだから、どうだろうね」
話題の中心にいるマーモット橙木は
「ヒーローが若者をボコボコにしてたのをみんなが止めてた時に、対岸の方の山にUFOが降りたんだよ。けっこう離れてたから小さくしか見えなかったけど、絶対UFOだったって」
と必死に訴えている。
今回の仕事に参加していない赤嶺は、
「ヒーローが若者ボコボコって、どういう状況だったんですか?」
と怪訝な顔で緑川に尋ねた。
「赤嶺の知り合いの彼が、今度は占いのヒーローに扮して俺たちの無許可のBBQのお店を邪魔しにきたんだけど、BBQ占いだー、なんて言ってお肉焼いて倒すべき相手を占ったら、ゴミをポイ捨てしてるそこいらの若者が占いに出ちゃったみたいでさ。ヒーローがゴミポイ捨ての若者をやっつけちゃったんだよ。ゴミポイ捨て野郎とはいえただの一般人だったから俺たちが止めに入ったんだ」




