9-11
「ふふふ。もう犯人はわかっているのだ」
「なっ、なに⁉」
「これが証拠だ!」
シャーロック・アキオは先程カモノハシ室井がアウロラに差し出した契約書を掲げた。そして、契約書の下部を指さした。
そこには『悪の組織ニジヘビ団代表・ジェネラル鍋島』と組織の代表者名の記載と組織の印鑑が押印された下に『担当怪人・カモノハシ室井』とサインが記されていたのだ。
「ここに貴様の名が書かれている!」
「しまった!失敗がしまった!」
カモノハシ室井は頭を抱えた。そして
「こうなったら、貴様をやっつけて証拠を隠滅するしかない!」
と攻撃を開始した。
カモノハシ室井がくちばしでつっいたり鉤爪でひっかく攻撃を繰り出すと、シャーロック・アキオはそれを避けながら反撃を試みた。
しばらく怪人とヒーローの攻防が続いた。少しずつ、シャーロック・アキオの攻撃が当たる回数が増え、カモノハシ室井の劣勢が色濃くなる。
「おのれシャーロック・アキオめ!俺の必殺技、クチバシスクリューを受けるがよい!」
そう言うとカモノハシ室井は数歩後ろに下がると、シャーロック・アキオに向かってくちばしを先頭に回転しながらロケット弾のように飛び込んだ。これを避けきれずシャーロック・アキオは吹き飛ばされ壁にしたたかに背中を打ち付けた。
「おおーっと、カモノハシ怪人の攻撃でヒーローがピンチだ!」
ユナがマイクを手に解説をする。そんな彼女の横で膝をついて意気消沈のアウロラが
「ねえ…私、どこまで置いてけぼりにされるの?」
とユナの腕にすがりついた。
「アウロラさん、戦いが終わるまでの辛抱よ」
「戦いが終わったらどうなるの?」
「ヒーローが勝ったら、あなたは正々堂々と売れない地下アイドル活動を、これまで通りやればいいの」
「ヒーローが負けたら?」
「悪の組織と契約して後ろめたい成功を手にすることになる。あなたの選択次第だけどね」
ユナの言葉を聞いて、アウロラは少し考えてから、ステージに向かった。
戦いは続いている。




