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「あらあら、アウロラさん?みんなは僕のことを応援してくれてるんですよ。…イェーィ?」
会場から「イェーイ!」が帰ってくる。赤嶺は調子に乗り
「セイ、ホーウ!」
と会場に投げた。戦闘員たちが「ホーウ!」とレスポンスする。それに赤嶺は高ぶりを抑えきれない様子で
「ありがとうみんな!じゃあ、僕たちの新曲をお届けするね!聞いてください『乙女恋落ちブギウギ』です!」
と曲名を告げた。緑川がスピーカーの上に置いてあったノートパソコンを操作する。スピーカーから流れ始めたリズムとベース音に緑川のギターが重なり、厚い音のうねりが作られる。赤嶺のヴォーカルがそれに乗った。
「露骨ぅに エッチに ブギウギ
あなたぁの 香りに ドキドキ
乙女ぇに 恋落ち ウキウキ
ガルルぅに ぐるるり ンギルギ」
それは、この日のために緑川が作ったオリジナルソングだった。
赤嶺に向かって観客たちがペンライトを振る。
「そんな…なぜーっ⁉」
アウロラは膝から崩れ落ちた。夢見た成功が目の前にある。アイドルのパフォーマンスにオーディエンスが賞賛のレスポンスを返す光景。さっきまで自分の手の中にあったはずのものが、突然現れたメイド服に奪われたのだ。
「返してっ!私のファンを、私のコンサートを!」
アウロラは打ちひしがれながら手を伸ばした。ほんの2.3メートル先に赤嶺がいる。すぐそこなのに、まるで永遠に届かないような場所に見えた。
赤嶺が歌う。
「わかってるでしょ 私はアナタに 常に無防備ノーガード
高ぶってるのよ 週に2回は 秘密の花園ランデヴー」
ステージの赤嶺に向かって、黄瀬がペンライトで光の渦を描く。黄瀬の背後の戦闘員たちもペンライトを激しく振ってコンサートを盛り上げていた。




