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厚木市内の小さなライブハウス。
地下アイドルの藍原アウロラ(22歳)は喜びに打ち震えていた。
ライブハウスの観客スペースが人で埋め尽くされている。アウロラのこれまでの地下アイドル活動の中で、これほど観客が入ったイベントはなかった。
「すごいねすごいね!こんな大勢ッ!…みんな、ありがとう!」
アウロラは感情を抑えきれず、コンサートの冒頭に叫んだ。会場から暖かい
「イェーイ!」
の掛け声と揺れるペンライトの光がアウロラをますます幸福にした。
「みんなでサイッコーに盛り上がろうね!じゃあ最初の曲です!私のデビュー曲の『鮎と豚肉と私』、聞いて下さい…」
「ちょっと待った!」
幸せの時間はあまりにも短かった。アウロラの声を、彼女の斜め後方から現れたメイド服の女が遮ったのだ。
「このライブは、ニジヘビ団がジャックしました!」
メイド服の女こと赤嶺が高らかに宣言した。それにあわせ、後ろに立つ緑川がギターを唸らせる。
「なんなのなんなの、アナタ!」
「僕たちは悪の組織ニジヘビ団。みんなぁ、悪ってるかーい!」
赤嶺の呼びかけに会場を埋め尽くした観客、ニジヘビ団戦闘員たちが
「イェーイ!」
と声を返す。彼らの先頭に陣取っているのは、この作戦の立案者の黄瀬だった。黄瀬の後ろには紫垣と青島もいて、ペンライトを手に赤嶺を囃し立てた。
「なにを言ってるのよ⁉みんなイェーイ?私にイェーイだよね?イェーイ!」
アウロラが会場を煽るが、戦闘員たちは無感動にそっぽを向いた。
「なんでなんで⁉えー!?」
困惑するアウロラに赤嶺が妖しい笑みを送った。




