第2話 あなたの話が聞きたくて
神奈川県中央にあるZ市にニジヘビ団の秘密基地はあった。それは4階建てのビルで、正面入り口に『ニジヘビ団秘密基地』と掲げられているので秘密基地と言えるかどうか疑問の余地のあるたたずまいだ。
その秘密基地の4階会議室に、組織の人々が集っている。正面にはホワイトボード、演台。正面に向かって並べられた細長いテーブルと椅子。
普通の会議室だ。
しかしそこに居並んだ人々は普通とは言い難い存在だった。
獣の姿をした怪人たち、上下黒いユニフォームに身を包んだ戦闘員たち。
そして彼らの正面、演台には胸に勲章をつけた軍服姿の男が一人、立っている。
「紫垣くん、ここに」
軍服姿の男、ニジヘビ団の総統・ジェネラル鍋島(55歳)は紫垣を隣に招くと
「今回のセイレネス撃破の功績を称えて、紫垣くんの昇格が決定した。今日から主任戦闘員の役職についてもらう」
と彼が昇進したことを伝え、任命書を手渡した。
「え?うちの戦闘員に主任とかあったんですか?初めて聞きますけど」
紫垣が戸惑う。
「今までなかったけどこれを機に作ったんだ。ほら、うちの組織って基本みんなやる気ないだろ?お手柄を立てたら昇格できるってことで、モチベーションアップになるかなーってさ」
ジェネラル鍋島は軽い調子で答えた。
「適当ですね。主任戦闘員になったら何か特典があるんですか?」
と紫垣が与えられた役職について尋ねる。