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紫垣に好意的な赤嶺が
「そうですよ。活躍して主任にもなったんですし」
とフォローすると、紫垣は指先で顔を撫でながら
「どうなのかね。俺もこう、なんか、必死に打ち込んだり、夢中になったりするものがあったらいいなと思うんだよ」
「紫垣主任は趣味とかないんですか?」
「ないんだな、これが。酒は少し好きかな。あんまりいっぱいは飲めないけど」
「だったら、お酒好きの何か目指しましょうよ。僕もお手伝いします」
赤嶺がアルコールとは違う別の何かに頬を火照らせながら紫垣に言った。
「でも、ああなっちゃうのも困るしさ」
と紫垣が指さした先で、青島がテーブルに突っ伏して
「生存、戦略ぅー…」
と謎の独り言を繰り広げている。
「うーん、あそこまで行っちゃうのは無しで」
と赤嶺が顔を横にブンブン振ると
「だろ?」
と紫垣が言った。緑川と黄瀬は苦笑いしたり肩をすくめたりして青島の醜態を眺めた。
青島は相変わらずテーブルに向かって
「しびれるねぇ…」
と、アルコールと妄想の世界におぼれ続けている。
「青島さん何言ってんだか。赤嶺、ごめんな。だいたいいつもこんな感じなんだよ。変な歓迎会になっちゃったね」
紫垣が謝ると
「変ではありますけど、楽しいですよ」
赤嶺は紫垣の顔を見つめた。見つめられて、紫垣が首をかしげる。赤嶺はちょっと歯を見せてあざとい笑顔を作った。
窓の外では夜の帳が少しずつ下りていくのだった。
《 第6話 僕の生存戦略 おわり》




