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「きゃあ!」
悲鳴を上げ、サクラが吹っ飛ばされた。紫垣も同じく弾かれて地面をゴロゴロ転がった。
トウコとカレンがサクラに駆け寄った。
サクラは白目をむいて気を失っている。
「ダメだわ。アイドルともあろう女子が白目をむいて気絶していては」
カレンがつぶやいた。
「戦闘員ごときに邪魔されるなんて…。くやしいけど、今日のところは引き上げるわよカレン」
トウコとカレンはサクラを両側から抱え上げ去っていった。
もう一方の犠牲者である紫垣の周りには、彼の同僚である戦闘員たちとマーモット橙木が集まっていた。彼もまた、気を失っている。
「大丈夫か?生きてるか?」「無茶するなぁ」「生身の人間なんだから怪人のマジ攻撃はちょっと無理だろ」
戦闘員たちは紫垣を担架に乗せた。
マーモット橙木が戦闘員たちに
「紫垣は車で基地まで送ってあげよう。あと、今日はみんな直帰じゃなくていったん基地に戻ろうね。戦いに勝ったから金一封あるかもしれないよ」
と声を掛ける。戦闘員たちから歓声があがった。
そして、テレビ画面に、
『人魚姫戦隊アイドル・セイレネス
次回につづく』
というテロップが映し出され番組はエンディングへと移っていった。
赤嶺は茫然とテレビを眺めながら
「セイレネス、負けちゃった…」
とつぶやいたのだった。
《 第1話 人魚姫の敗北 おわり 》