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地面に倒れこんだ紫垣に、同じく向かい合って地面に倒れている赤嶺が
「紫垣主任、この後どうしたらいいですか?」
と聞いた。
「赤嶺、静かにしてないと、たまにとどめ刺されるぞ」
紫垣が注意した。続けて彼は
「俺たちはこのまま、怪人とヒーローの戦闘が終わるまで倒れているんだ」
と小さめの声で赤嶺に説明した。
「わかりました。…じゃあおしゃべりとかも禁止ですか?」
赤嶺が小声で聞いた。
「目立たなければ大丈夫だ。ずっと倒れてるのも暇だから、みんなスマホ見たりしてる」
紫垣が言った。
赤嶺はちょっと頭を上げて周りの倒れている戦闘員たちを見回した。彼の同僚たちは地面に横になりながらスマホを取り出して眺めていたり、近くに倒れている者同士でこそこそ話したり、中には文庫本を取り出して読んでいる者もいた。
「なるほど。けっこう自由なんですね」
赤嶺が言った。
赤嶺は目の前に倒れている紫垣を見つめた。紫垣は目を瞑って横になっている。地面に伏した二人が動かずに向かい合って時を待っている、不思議で小さな世界がそこにあった。
「ああ…なんかこれ、良いなぁ」
赤嶺は紫垣の顔を見つめながら小さな声で独り言を言った。
赤嶺はふと、
「紫垣主任。もし紫垣主任みたいにヒーローを倒したら、何かご褒美もらえますかね?」
と質問した。




