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「なんだ?」
「紫垣主任は今、フリーですか?」
「フリー?」
「彼女とか彼氏とかいますか?」
両方の性について質問するあたりに赤嶺の自由奔放さ加減がうかがえた。
「どっちもいない」
「僕もいません!」
赤嶺は適度にあざとさを含んだ真剣な面持ちで紫垣を見つめた。だが当の紫垣はどこまで赤嶺の熱を受けて止めているのか読めない軽さで
「じゃあお互い気楽な身分だな」
と微笑しながら、茶色い小瓶を一つは自分に、そして赤嶺にも一つ、手渡した。
紫垣が瓶を振ってからぐいっと飲み干すのを見て、赤嶺も一口飲んでみた。
「これは…これはなんといっていいか…」
赤嶺は口から体内に侵入してきた不愉快な液体の味と感触に顔を歪ませて悶えた。
「俺たちはこれを野生動物のお酢と呼んでいる」
紫垣が説明すると
「的確な表現ですね。ちょっと吐きそうです」
赤嶺は瓶に貼られているラベルを読んでみた。
『効能:超元気になる、攻撃的になる
用法:よく振ってお飲みください
成分:気にしちゃダメ 』
と書かれていた。
うえーっ、と舌を出す赤嶺を見て紫垣は「ふふっ」と笑った。
《 第4話 アリス・イン・イービルオーガニゼーション おわり 》




