16-7
「素晴らしい日本の伝統を守り、次世代に繋げるために。行くぞケンビシ。人形ハリケーン!」
竹本マリオネットはクルクルと回転しながらケンビシを叩きつけたり、自らのキックや裏拳をコンボで繰り出した。
ダチョウ水谷は切れ目ない連続攻撃に防戦一方となった。彼は両腕をクロスしてガードを固めしばらくヒーローの攻撃を受け続ける。
「やるじゃないか人形野郎。だが、これはどうだダチョキック!」
ダチョウ水谷はスッと身を屈めて地に横向きに半身寝そべりながら、その逞しいダチョウの足でローキックを何発も撃ち込んだ。竹本マリオネットは膝や太ももを攻撃され思わず後ずさりする。
続けて、ダチョウ水谷は立ち上がると
「喰らうがいい、フェザーダーツ!」
と竹本マリオネットに向かって翼をはばたかせた。すると翼から数枚の羽根がダーツのようにヒーローに向かって放たれたのだ。
竹本マリオネットは咄嗟にケンビシを盾にした。ケンビシに無数の羽根が突き刺さる。
怪人とヒーローの戦いが続く中、アウロラのPV撮影は次のシーンに移っていた。両手を空に向かって広げて歌うアウロラを、中腰の黄瀬が円を描く様に移動し360度から彼女を撮影している。緑川は映像に映りこまないように少し離れて片膝になり
「いいよ、その表情!常識に囚われた人々が歌声で解放されていく喜びを笑顔で表現!」
とアウロラに指示を出している。
PV撮影と戦いは絡み合うことなく進行していった。
「くそう、ケンビシが羽根まみれに!」
竹本マリオネットが歯ぎしりするが、
「大丈夫だよ、たけもと!おいらはまだ戦える。だって人形だもん!」
とケンビシが答える。
怪人とヒーローの周囲にはいつも通り戦闘員たちが倒れている。その中にあって一人だけ立っている戦闘員がいた。ヒーローにまだ撃退されていない青島である。彼は
「やっぱり練習しなきゃダメだな」
とヌンチャクをクルクル振り回していた。すると、接続が甘かったらしくヌンチャクの片方の柄が外れ、ビュンッと音を立てて飛んでいった。
ヌンチャクは竹本マリオネットに向かって飛び、ケンビシの頭部に直撃し、その首を落とした。




