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「紫垣さ、ムーンウォークの後遺症は大丈夫なの?」
マーモット橙木が聞いた。
「大丈夫。まだ少し体が痛いけどね。博士に聞いてみるかな、あのエナドリって他の人も使えるのか」
紫垣が言うと青島や緑川や黄瀬が
「いいよいいよ紫垣ちゃん!」「俺もあれはいらない」「僕もいやっす」
と口々に拒絶の意思を示した。
赤嶺は
「僕もいらないですけど、紫垣主任が僕に突撃してくるのだったら、僕は避けません」
と両手を広げて受け入れるポーズをした。
「よし、博士に聞いてくる!」
紫垣は博士を探しにその場を離れた。
「紫垣くん、俺たちの話聞いてた?」
緑川が呆れて問いかけたが、紫垣はどんどん人をかき分けて行ってしまった。
雨海博士はリャマ宇田川、タカコと談笑していた。
紫垣は彼らの雑談に割って入り
「博士。先日のムーンウォークのエナドリは僕以外でも使えるんですか?」
と雨海博士に聞いた。
「残念ながら、あれは君専用だよ。君がマーモット橙木くんの攻撃でケガして運ばれたときにね、いろいろ調べさせてもらったんだ。君はちょっと変わった体質をしている。他の人だと拒絶反応が出るはずだ」
「そうなんですね。俺は変わった体質なんですか?」
「うん。あのエナドリは怪人や強化人間を作る過程で使う薬品が基になってる。ある程度改造された肉体じゃないと能力アップ以前に体が拒絶するはずなんだけど、君の細胞はすんなり受け入れるんだ」
「人体に影響は?」
「直ちにはない」
雨海博士はニヤリとした。
「拒絶反応がでないって、いいことなんですか?」
「私の実験にとっては」
「俺は改造の申請はしていませんが」
「主任戦闘員は人体実験の被験者になってもらうって鍋島総統から言われているだろう」
「うーん…そんなこと言われましたね」
紫垣は指先で顎や頬をなでながら唸った。




